青色申告をしよう(7)/家事按分

3月 13, 2022

このシリーズについて

このシリーズは、会計ソフト「やよいの青色申告」を使って、帳簿を作成したり申告書を作成したりする方法を解説していきます。細かいことは抜きにして、「こうすれば確定申告ができる」という一連の手順を解説します。

別シリーズ「白から青申StepUp」では、白色申告と青色申告の違いなども細かく解説しています。これまで白色申告をしてきてなかなか抜け出せない方や、青色申告の本質的な要点などを知りたい方は、そちらの別シリーズも併せてご覧ください。

家で仕事をするフリーランスの場合、家賃や水道光熱費の一部を事業の経費とすることができます。そのしくみが家事按分です。

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家事按分できるもの

次のようなものは、料金を支払うのは一括だけど、事業用でもあり自分用でもあるという支出です。

  • 家賃
  • 水道代
  • 電気代
  • ガス代
  • 携帯電話代
  • ネット通信費
  • 車のガソリン代

こういったものの支出に関しては、一定の割合を按分して、事業用の経費にすることができます。按分の比率は、24時間中8時間を事業に使ってるなら3分の1とか、敷地面積のうち4分の1を事業に使ってるから4分の1とか、ある程度根拠のある常識的な範囲内で自由に決めることができます。

仕訳例

最強の会計ソフト弥生の青色申告での仕訳例を見ていきましょう。

仕訳
水道光熱費

まずは普通に仕訳します。水道光熱費の合計が206,000円の例です。損益計算書でも206,000円となっています。

その後、クイックナビゲータの家事按分を開き、水道光熱費を事業比率を入力しましょう。

クイックナビゲータ
家事按分入力

水道光熱費の事業割合を25%としました(家事割合は75%)。なぜなら、間取りがこんな感じだからです。

間取り

1Kのマンションで、仕事で使ってるのは大体4分の1(25%)くらいかなぁと。

でも、このパソコンでネトゲやることもあるし、逆にトイレの中で集中して仕事のことを考えることもあるし…、とかそういう厳密なことは必要ありません。客観的な根拠があればそれでOKです。

さて、家事按分の画面で事業割合を入力したら、右上の「集計」を押しましょう。

仕訳書出

水道光熱費として支払った206,000円のうち、家事割合にあたる75%の154,500円という数字が一番右側の「家事振替額」に表示されます。それを確認したら、左上の「仕訳書出」ボタンを押します。

仕訳日記帳に転記

仕訳日記帳に、家事按分の仕訳が転記されます。

この内容はどういうことかというと、

206,000円全額を一旦、事業経費(水道光熱費)とした

そのうち75%の154,500円は事業経費ではなかったので、取り消して事業主貸(個人の出費)とした。

という仕訳になっています。損益計算書でも確認してみましょう。

損益計算書

水道光熱費が、25%の51,500円まで減っていることがわかります。

家事按分の仕訳書出

一度家事按分の仕訳書出をしてから経費が増えた場合、再度「集計」→「仕訳書出」の操作をする必要があります。重複して書き出されることは無いので、経費が増えるごとに何度でもこの操作をしてOKです。

そして、全ての経費を入力し終えた年末に、もう一度忘れずに、必ず仕訳書出をするようにしましょう。

複数の勘定科目を家事按分する場合

複数の勘定科目を家事按分する場合は、家事按分画面で複数の登録を行えばOKです。

複数の家事按分

このように、勘定科目ごとに異なる事業割合を設定することもできます。

一部だけを家事按分する場合

ある勘定科目の一部だけを家事按分したい場合があると思います。

例えば、通常は事業用の運送代として「荷造運賃」という勘定科目を使っているけど、事務所兼自宅を引っ越すときの費用は家事按分すべき。でも、それも荷造運賃だし、うーむ、ってときです。

そんなときは、補助科目を作成し、区別します。

補助科目

荷造運賃に補助科目を作成して、通常の事業経費は補助科目無し、事務所兼自宅の引っ越し費用のときだけは「移転費用」という補助科目にしておきます。

科目設定
補助科目の設定はこちらから。
移転費用

そして、家事按分画面で、荷造運賃の移転費用に対してだけ、事業割合を指定して家事按分します。

客観的な按分を

事業割合を増やせば増やすほど、経費になる額が増えて、税金が減ります。実際にいろいろ数字を入力して何度も計算をやり直すと、所得税確定申告書Bの画面で納める税金の額が変わるのが確認できると思います。

うっひょー、だったら事業割合90%にしちゃお、うひひひ。

とかそういう適当な事業割合を設定するのはダメです。どの程度事業に使ったかの割合は、時間や面積など、根拠のある客観的な数字で決めてください。とはいえ、1cm単位で面積を測ったりとか、そこまで厳密な計算は必要ありません。大体、25%とか50%とか60%とか、そういうキリのいい数字で決めてしまいましょう。

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