【緊急注意喚起】不備ループの陰に潜む悪徳商法の罠

2月 26, 2022

コロナウィルスの影響によって売上が減少した事業者に対し国が給付金を支援する各種制度。2020年は持続化給付金、2021年は一時支援金と月次支援金、2022年は事業復活支援金という制度がそれぞれ実施されています。

この各種支援金制度の申請の際、審査事務局から「申請内容に不備があります」と言われて何度も修正・再提出を求められるのが、いわゆる不備ループと呼ばれる現象です。

不備ループを食らってしまうと、多かれ少なかれ、申請者の精神は疲弊します。ですが、できるだけ冷静な心を保つようにしてください。なぜなら、その疲弊した心に付け込んで、さらなる金を搾取しようとする悪者が居るからです。

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初期/虚偽申請の勧誘

初期の頃は、虚偽の申請を促して支援金を搾取しようとする輩が居ました。

悪いひと

奥さん奥さん。それからそこの学生さん。国の支援金制度を知っていますか? なんと100万円がもらえるんですよ! え?それって事業者じゃないとダメなんじゃないかって? なーに、そこはお任せください! わたくしどもが、必要な書類をあらかじめ作成して差し上げます。あなたはその書類を使って申請するだけでOKです。支援金を受け取ったら、半分の50万円をわたくしどもが頂きます。残りの50万円はあなたのモノです! 興味がおありでしたら、是非ご返信ください。絶対に損はさせません!

法人や個人事業主でない人にとっては、本来なら支援金制度は無縁です。そのような一般の主婦や学生などをそそのかして、虚偽申請をさせようというのです。

自分には無縁の支援金制度、よくわからない…。確定申告?とかいうやつをしてないとダメなんでしょ? えっ、確定申告の書類を代理で作ってくれるの? これってもしかしてウマい話なのでは…。

そんな心の隙に付け入って、悪いひとは犯罪行為を勧めてきます。万が一この虚偽申請の勧誘に乗せられて不正を行ってしまった場合、まず逮捕されます。そして、不正受給した支援金は当然、全額返還になります。さらに、悪いひとに渡した手数料は返ってきません。奴らはヤることヤッたらトンズラこくからです。

手元に残るのは50万円の負債と前科。決して、虚偽申請をそそのかす甘い言葉に乗ってはいけません。

初期の頃はこのような事例が横行したのですが、次々と審査事務局・警察当局にバレて、ほとんど全て逮捕に至っています。今では詐欺師たちもこの手法からはほぼ撤退しており、ほとんど見られなくなりました。

中期/申請の手伝いや代行

普段から帳簿や証憑書類(請求書・領収書等)をしっかり保存し、確定申告もちゃんと行い、自身の事業の会計にあかるい人であれば、支援金の申請はそれほど難しくはありません。

しかし、そのあたりの会計を今まで適当に済ませてきた人や、何もかも税理士に任せきりの人にとっては、支援金の申請要領はとても難解だと感じるかもしれません。どこにどの数字を書いたらいいのかわからない、こんな申請の仕方で大丈夫だろうか…。

虚偽申請の勧誘がナリを潜めた中期には、支援金の申請を手伝ったり代行したりする業者が現れ始めました。

それ自体は悪いことではありません。しかし、SNSでギラギラしたツイートをする業者は、法外な手数料を要求してきます。

支援金お手伝いアカウント @otetsudai

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本当に善意でサポートを行っている業者もありますが、手数料が10%を超えるようであれば、要注意です。それでもまだ、本当にサポートしてくれるのならいいのですが、サポートするフリだけだったり、金だけもらってトンズラこく輩も居るので、注意が必要です。

後期(1)/訴訟をけしかける

2021年の中頃から2022年にかけては、訴訟を絡めた悪徳商法がちらほら見受けられるようになりました。

不備ループで疲弊している申請者の方は、その怒りもMAXです。この恨み、どこにぶつけてやろうか…。中小企業庁か? あるいは審査事務局を運営するデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー社(デロイト)か? この精神的苦痛は損害賠償に値する!
訴えてやるッッ……!!

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そこに、悪いひとたちは味方の顔をして近付いてくるのです。

悪いひとは、弁護士の皮を被っているかもしれません。

悪い弁護士

あなたのケースは、裁判すれば勝てますよ! まずは作戦会議をしましょう。いろいろと調査しないといけないことがあるので、そうですね、4回くらいの打ち合わせがまずは必要になります。1回の打ち合わせで5万円の相談料を頂きますが、裁判で勝てば何倍にもなって返ってきますよ!

中小企業庁やデロイト社というのは、法務部もしっかりとしており、いわば訴訟のプロです。そこに斬り込んで勝訴を得るのは生半可なことではできません。でも、弁護士が「できそうだ」と一言言えば、心の弱った申請者は、「勝てるかもしれない」という気になって、次から次へと相談料を支払ってしまうのです。

悪い弁護士は、適当な頃合いを見て、「やはりこの訴訟案件は難しい。力が及ばず、申し訳ない」とかなんとかホザいて、トンズラこくつもりなのでしょう。

他には、悪いひとが集団訴訟を提案するケースもあるでしょう。

デロイト訴えるぞ @soshou

集団訴訟を起こそうと考えています。資金はクラウドファンディングで集めようと思います。少額でかまいません。一人一人の力が集まれば、悪の中枢・デロイトを倒すことができるのだ!

既に提訴された別の集団訴訟では、デロイトが和解を持ち掛けており、事実上の勝訴寸前です。我々もこれに続くのだ!

95

一人で訴訟を起こすのはとても(資金的にも)難しいですが、たくさんの人で少額ずつ負担して、大きな裁判にしようという提案です。この話が本当であれば、集団訴訟やクラウドファンディングという試みは素晴らしいことです。

不備ループで心が疲弊していると、何も疑わずに「おおお、もうこの話に掛けるしかない…」と思ってしまうかもしれません。

ですが、一度立ち止まって、よく考えてみてください。この訴訟は勝てる見込みがあるのか? そもそも、この人は訴訟をするつもりがあるのか? 資金だけ集めてトンズラこくつもりなのでは…。なんか「別の集団訴訟」が云々と言ってたけど、その情報のソースはどこなのだ?

少額の話だとしても、お金が動く以上、しっかりとそのあたりを調べておくことが重要です。不明な点があればいろいろ聞いてみるのもいいでしょう。そんなとき、何故か話をはぐらかしたり、無視したり、謎の逆ギレをするような人は要注意です。

要注意だとしても、もしかしたらその人は悪いひとではないかもしれません。常日頃から政治に不満があり、政治にモノを申すことが日課となり、政治を批判するためなら多少話を盛ったり真偽不明な話を混ぜたりしてもよい…。

私は、そんな人を多く見てきました。真っ当な政治批判なら何の問題も無いのですが、ある境目を超えると、彼らは自分でも気付かないうちに、正義の名のもとに、話を盛ったりするのです。怪しい資金集めをしている人が居たとしても、それは「悪いひと」なのではなく、「正義のために盲目になっているひと」なのかもしれません。

いずれにしても、そのような話に乗っかるのは危険です。自分が納得できるまでコミュニケーションを行い、話の真偽を確かめるようにしてください。

後期(2)/バックエンドへの誘導

不備ループを狙って一儲けしようとする悪いひとたち。彼らの手法はどんどん複雑になり、一見「ソレ」とはわからないようなものもあります。

爆松さん @bakumatsu

意味不明な不備がきた

ブログ×積み上げで月収7桁 @fukugyou

不備ループ、許せませんよね。事務局はどうなっているんだ!

爆松さん @bakumatsu

小学生が審査してるんじゃないの?

ブログ×積み上げで月収7桁 @fukugyou

事務局は頭悪いんですよ、きっと…

別に何も不審なところは無いように見えます。なんとなく「ん?月収7桁ってなんだろう」と思ってこのアカウントのプロフィールを見てみると、「SNSマーケティング」だとか「ブログで集客」だとか、クッサいワードのオンパレード。そう、この「ブログ×積み上げで月収7桁」というアカウントは、悪徳情報商材を売る虚業師だったのです。

ソレとは気づかれないように不備ループで心が疲弊している人に近づき、自分からはソレとはバラさずに、自然にその背後に控える(バックエンドの)悪徳情報商材に誘導するという手法です。

あるいは、そもそも「爆松さん」も虚業師の仲間で、不備ループに悩む人とそれにリプする人を演じていただけなのかもしれません。

悪徳情報商材に誘導する以外の類似の例としては、謎の宗教に勧誘してくるパターンもあります。

不備ループで心が疲弊しているときは、「月収7桁」だの「稼げる」だのというワードに心が奪われそうになります。奴らは、人の弱った心に付け込む悪いひとたち。決して騙されないようにしましょう。

怪しかった

この話は、実際にあった例に少し脚色を加えています。私はこの「爆松さん」にまず、どのような「意味不明な不備」が来たのかを聞いてみました。不備通知の文言は難解なことが多いのですが、じっくり読み込めば意味不明でもなんでもなかったということがあるからです。

しかし、不備の詳細を何度聞いても、回答は得られませんでした。「不備通知には何と書かれていましたか?」という単純な問いを10回ほどしたのですが、全部無視されました。

単純な問いが答えられない。その裏には、何らかのごまかしや嘘があると考えて間違いないでしょう。

悪いひとに騙されないために

不備ループで心が弱っている人は、さまざまな負の感情に支配されてしまいます。焦り、怒り、悲しみ…。そのどれもが、人間の冷静さを奪ってゆくものです。

そんな弱った心に陰からヌッと寄り添ってくる人が居た時は、まずコミュニケーションを取ってみましょう。気になることがあれば納得がいくまで聞いてみましょう。もしそのやりとりの中で違和感を感じたなら、そっと距離を置いたほうが無難かもしれません。

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