ジゾキュー2020総括(後半)

1月 14, 2021

前半の続きです。

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8月~/不正受給者逮捕

7月22日、ついに持続化給付金の不正受給の疑いで逮捕者が出ました。

新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小事業者を支援する国の「持続化給付金」をだまし取ったとして、山梨県警は22日、埼玉県鶴ケ島市の男子大学生(19)を詐欺容疑で逮捕した。容疑を認めている。


県警によると、同給付金をめぐる詐欺容疑での摘発は全国初という。
逮捕容疑は、個人事業主と偽って確定申告した上で、5月下旬から6月上旬にかけ、虚偽の売り上げ台帳などを用いて受給申請し、6月11日に100万円を入金させた疑い。
別事件の捜査の過程で男子大学生の容疑が浮上した。県警は、組織的な犯罪の可能性も視野に使途などを調べる。

時事ドットコム:持続化給付金不正受給の疑い

世間一般には持続化給付金の仕組みや進捗状況などはあまり報道されていませんが、この不正受給の件は大きく報道されました。世の中のほとんどの人は、持続化給付金の話題といえばコレ、というふうに思われていることでしょう。

この件は要するに、個人事業主でも何でもない学生が、偽の確定申告書を作って持続化給付金100万円を不正に受け取ったというものです。売上を多少増やしたり減らしたりした…というレベルの話ではありません。まるごと虚偽申告です。こりゃぁ一発アウトですね。

8月は、他にも続々と詐欺容疑で逮捕される不正受給者の話題で世間はもちきりになりました。持続化給付金全般の情報に常にアンテナを張っているジゾキュー界隈にとっては、不正受給の話題は他の話題に比べてそれほど大きな話ではありません。申請者当人にとってはもっと切実な、審査が長期に渡って放置されている問題や、提出する書類を用意するのが困難であるという問題など、いろいろな問題が山積みでした。

このような切実な問題があるのに、報道では不正受給問題ばかりが取り上げられ、事の優先順位が違うんじゃないかという声も少なからずありました。

さてこの不正受給ですが、いろいろなパターンがあります。不正受給者本人が自分で犯行に手を染めてしまうパターン、組織的な詐欺グループが大量に不正受給を行うパターン、そして、「あなたでも100万円がもらえますよ」という甘い言葉で主婦や学生などを勧誘し、不正受給をさせて手数料を黒幕が受け取るパターン。

この、「あなたでも100万円がもらえますよ」というパターンが一番厄介でした。ターゲットの主婦や学生などに100万円を受け取らせておいて、例えば半額の50万円を黒幕が受け取るというような形です。

もしその不正受給がバレたら(というか絶対にバレます)、ターゲットにされた人は国に100万円(プラス加算金)を返さなければならないわけですが、黒幕に渡した50万円は当然帰ってはきません。しかも、逮捕されるのはターゲット本人です。前科が付いて50万丸損。やってられませんね。

ターゲットとされてしまった人は、被害者でもあり、加害者でもあるのです。

このような詐欺の黒幕は、SNSでも「あなたでも持続化給付金が受け取れます」とアピールしまくっていました。アシの付かないようなアカウントを使っているのでしょうが、本当に厄介な奴らです。

さらには、「そそのかされて不正受給をしてしまった人でも逮捕されずに済む方法を教えます」というアカウントまで現れました。おお、救世主か? いや、違います。こういう奴も、二次的に手数料を搾取しようとする詐欺師の輩です。ほんと、どうしようもないですね。

ジゾキュー界隈では、このような不正受給をそそのかすアカウントを片っ端から中小企業庁などに通報するという活動が行われていました。みなさんの素晴らしい活動に、感謝ですね。

ぼくの考察

「スピーディに給付する」という持続化給付金の性質上、不正受給は避けては通れない問題です。申請に対する審査を極めて簡便で形式的なものにしたため、ある程度の不正受給が行われてしまうのは仕方の無いことです。中小企業庁も、それはわかっていたと思います。

スピーディで、しかも不正受給ゼロ…。もちろんそれが理想だし、中小企業庁もその実現に全力を注いでいたと思います。ですが、「どっちかというと不正受給を見逃してしまう可能性がある」ということを許容した上でスタートした持続化給付金事業です。良くも悪くも想定の範囲、と言ったところでしょうか。

6月7月頃は、申請から1ヶ月経っても2ヶ月経っても給付されない「長期放置問題」が徐々に明るみになってきました。「不正かどうかを詳しく調べているのかもしれないけど、そんなことよりもまずは急いで給付を!」という声も多くあがりました。

長期放置の原因が不正調査のせいだったのか、それとも別に要因があったのかはわかりません。しかし、「不正なんて後で回収すればいい。まずは給付しろ」という声が多かったのは事実です。

これについては賛否両論あります。スピードか不正防止か。どっちかを取れと言われれば、うーん、難しい問題ですね。ただ一つ言っておきたいのは、「不正なんて後で回収しろ」と言っていた人が、その同じ口で「不正を見逃すなんてどういうことだ!」と憤っていたのは、なんか二枚舌な感じがしましたね。

さてこの不正受給を斡旋する黒幕に関してですが、少し気になったことがありました。通常の架空請求などの組織的詐欺グループの場合、黒幕は決して正体を明かさず、SNSのアカウントもその正体が辿れないようになっていると思います。

確かに初期の頃の不正受給斡旋はそのような「いかにも組織的詐欺」の匂いがプンプンしていたのですが、実際に逮捕者が出てしばらく経った後の後期の頃は、なんというか、レベルの低いアカウントが不正受給斡旋をしてるような感じでした。

要するに、普段から怪しいネットビジネスやねずみ講まがいのことをしているような輩が、正体を隠すことも無く「じゃあ今度は持続化給付金、やってみない?」と勧誘していたようなイメージです。プロの詐欺師が撤退した後に、レベルの低いチンピラが残飯を漁りに来た感じでしょうか。

9月/事務局をデロイトへ移管

持続化給付金の事務局運営は、8月までは中小企業庁からサービスデザイン推進協議会(サ推恊)へ委託されていました。実はその中身は大手広告代理店の電通への再委託だったのですが、とにかく8月までがいわゆる「サ推恊版」というやつです。

9月からは、この事務局運営がデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(デロイト)へ移管されました。これも中身は、広告代理店業界No.2の博報堂への再委託です。

5月当初、持続化給付金事業はサ推恊とデロイトで入札が行われたのですが、サ推恊のほうが価格が高いにも関わらずサ推恊が選定され、その不透明さが問題になっていました。

その遺恨の表れなのか、それとも単に流れ的にそうなっただけなのか、9月からはデロイトにバトンタッチ

持続化給付金のホームページなどでは「8月31日以前に申請の方」と「9月1日以降に申請の方」という形で、説明文や申請フォームなどが分けられる形になっていました。一般の申請者にとっては事務局運営をどこが請け負っていようが関係無いので、なんだかややこしいなぁという印象を持たれた方も居たかもしれません。

ジゾキュー界隈では事務局運営の移管は周知の事実なので、これらを「サ推恊版」「デロイト版」と呼んで区別していました。

これだけ大きな事業を、積み上げてきたノウハウを9月1日で一旦ゼロにして、しかも旧来のサ推恊版時代の申請者情報を引き継いで行っていく。こんなことが果たして可能なのだろうか? サ推恊が行ってきた事務局運営はお世辞にも良いモノとは言えませんでしたが、それでもわずかなりとも積み上げたノウハウをまたゼロに戻すというのは、それこそ悪手なんじゃないだろうか。

そんな不安がありましたが、とにかくサ推恊が手を引いた以上はどうすることもできません。そんなこんなで、9月からデロイト版がスタートしたのでした。

外目には、9月に事務局運営がデロイトに切り替わっても、特に何も変わらずスムーズに持続化給付金事業が行われているように見えました。これまでのサ推恊は、やれ電通だ、やれ多重下請けだ、やれパソナだ竹中平蔵だ、とさんざん批判されてきました。やっとそのしがらみから解放されたので、申請者にとっても大きな期待があったと思います。

しかし、10月になり11月になり、長期放置問題や低レベルなコールセンターの実態などが次々と発覚し、「これ、サ推恊よりデロイトのほうがもっとヒドいんじゃないか?」という印象が広がってしまうこととなりました。

ぼくの考察

持続化給付金の事務局運営というのは、とてつもなく大きな事業です。受付システムの構築、サーバーの調達、審査用事務所の開設、審査者の募集、コールセンター事務所の開設、コールセンターのオペレーターの募集、広告、税務と法律の専門家の募集、などなど。そしてそれら全てが円滑に進むようにするための体制の構築…。

例えばコールセンター1つとっても、簡単なことではありません。なんかとにかく人を集めて電話の前に座らせておけばいいなんてものじゃないんですよ、コールセンター業務は。

まず、オペレーターのシフトを組む。オペレーターに対して持続化給付金とその周辺に関するあらゆる知識を教育する。オペレーターが即座に申請者情報にアクセスできるように、必要な台数のパソコンを用意して、オペレーター専用のシステムも構築する。オペレーターが対応しきれない場合のための上長を置き、どのような形で何を報告するかを決めておく。応答の質を維持するために、オペレーターの業務レベルを評価するシステムを作る。オペレーターというのは基本的に精神的に辛い仕事なので、福利厚生をしっかりし、場合によってはカウンセラーを常駐させる。etc…

こんなの、適当な会社が「よーし、コールセンターやるぞ」と言ってすぐにできるものではありません。だからこそ、コールセンター専門の会社というのがこの世には存在するわけです。電通にしろ博報堂にしろ、広告代理店の社員がこのようなことを簡単に行うことはできません。だから外注するのです。コールセンター専門の下請け会社に外注して、適切な事務局運営の質を確保する。それが元請けである電通や博報堂の仕事です。

業界No.1、No.2の広告代理店というのは、ぶっちゃけて言えば、人脈こそがその会社の価値そのものです。電通や博報堂ともなれば、いろいろな業種の優秀な下請け会社と取引できる人脈があって、即座に体制を作ることができる。何十年に渡って人脈を構築するというのもタダではありません。それもこれも含めた費用が何百億円という巨額の委託費というものの中に含まれているので、そんなレベルでの金勘定ができない我々のような庶民が「委託費が大きすぎる」なんていう判断を下すことなど、できるわけがないのです。

それでもまぁ、その判断が下せる専門家の手によって、この委託費が適正な額であったかどうかを調査してもらいたい気持ちはありますけどね。

少し話は逸れましたが、そういうあらゆることを含めて、結局デロイトがサ推恊よりヒドいという結果になってしまったのは、それはそっくりそのまま電通と博報堂、すなわち業界No.1とNo.2の差が如実に表れたということではないでしょうか。別に電通を擁護するつもりはありませんが、結果から見ればそう言わざるを得ません。

10月~/長期放置問題

10月頃になってくると、いよいよ長期放置問題が深刻な問題となってきました。申請から2ヶ月3ヶ月経っても何の音沙汰も無いというケースが多数見られるようになってきました。

これに前後して、中小企業庁は今なお横行している不正申請者に対し、「今返還すれば、不正発覚時に加算される2割の加算金を免除する(100万受け取ったなら、そのまま100万だけ返せばいい)」というようなことを発表しました。

よく読めば、この中に「逮捕はしない」とは一言も書かれていないことがわかります。それもそのはず、返還金にいくらの加算金を加えるかは中小企業庁の管轄だけども、逮捕や起訴が行われるかどうかは警察・検察の管轄なので、中小企業庁の一存で「逮捕しませんよ」とは言えないわけです。

とにかく、中小企業庁としては、不正申請かどうかを見分けることに時間と人員を割くよりは、不正申請者に自発的に返還することを促した方がコストがかからないと判断したのでしょう。中小企業庁もハッピー、不正申請者も加算金が免除されてハッピーで、win-winです。

時勢的にこのようなことがあったため、特に10月や11月は、いわゆる「不正自首待ち」という状態になっていたのではないかという見方があります。正当な申請者もそれに巻き込まれてしまって、意味も無く給付が待たされることになってしまった。そう考えると辻褄が合うような気がします。正当な申請者にとってはたまったものではありませんが。

一言で長期放置問題と言っても、その内容はさまざまです。何の音沙汰も無く3ヶ月も待たされているケース、申請に不備があったという「不備連絡」は来ているけども不備らしきものが全く無くて再申請させられているケース、そして、申請者が申請に必要な「開業届の代替書類」を提出したものの、それが認められずに何度もリジェクトされてしまっているケース。

そのようなさまざまなケースがある中、さらに不正受給防止というミッションもこなさなければならない事務局。そしてさらなる悲劇は、システム不具合の発覚。いろいろなことが起こってパンクしてしまったのでしょう。いや、その程度でパンクするのはダメなんですけどね。まぁとにかく、いろいろなことが起こっていたということは想像できます。

さてこの不具合ですが、11月27日に発覚したのがソレです。

経済産業省は2020年11月27日、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中小企業や個人事業主に支給する「持続化給付金」で、2020年9月以降に受け付けた申請のうち536件で誤った支給が発生していたと公表した。システムの不具合が原因で、誤支給の総額は約5億円に相当するという。
2020年9月から業務を委託しているデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーから報告を受けた。持続化給付金は、事業収入が前年同月比で50%以下などの給付条件がある。しかしオンライン申請システムでは、これらの条件を満たさない申請でも受理していたことが分かった。条件を満たさないまま給付が行われていた事例が536件確認されたという。

日経XTECH:持続化給付金に約5億円の誤給付

これは要するに、持続化給付金の申請フォームで金額を入力する際、給付条件である「前年比50%減」を満たしていなくても、申請確定画面にまで進むことができてしまうということです。

僕の記憶では、5月当初のサ推恊版の申請フォームでは、前年比50%減を満たしていないまま先に進もうとすると「条件を満たしていません」と表示されて先に進めなかったように思います。

申請フォームで申請が受理された後に人間による審査が行われるわけですが、審査者にとっては当然「これは前年比50%減のチェックを通過したものだ」という認識のはずなので、あらためて金額をチェックするようなことはしません。というか、審査マニュアルにも盛り込まれていなかったんだと思います。

申請フォームが正常に機能しているという当たり前の前提に立てば、その審査マニュアルは正しいものです。しかし、申請フォームに不具合があり、金額チェックが全く機能していなかった。これは審査者にとっては想定外でしょう。おい、申請フォーム作ったプログラマー、何してくれとんねん! ってな感じです。

この問題を別の角度から見てみましょう。金額が前年比50%減かどうかは、申請者は自覚しているはずです。よほど計算が苦手な人ならアレですが、半分以下かどうかを間違えることは滅多に無いですよね。ということは、「50%減じゃないけど強引に申請しちゃえ」という人が536人ほど居たということになります。

それはまぁ、不正とか詐欺とかではないですが、モラル的にはどうなんですかね。事業者というのは自分の事業に関わる全ての金額を正確に把握・申告し、自分を厳しく律する責務を負う者のこと。それがこんな「強引に申請しちゃえ」という気持ちでは、それ、胸を張って「事業者だ」と言えますかね?

このシステムの不具合、発覚したのが、長期放置問題が騒がれていた最中の11月27日。当然みんな思うわけです。「システムの不具合のせいで、なんらかの障害が発生し、申請者の一部が長期放置状態になってしまっているのではないか?」と。

しかし中小企業庁はこれを否定しました。この不具合に起因する審査の遅延は無い、と。

ここで僕の意見を言わせてもらいますと、僕もそう思います。この不具合と長期放置は無関係であると思います。何故なら、この不具合は申請フォーム側(フロントエンド側)のものです。一方、長期放置やデータ紛失などが起こり得るのはサーバー側(バックエンド側)です。

そして、「ただちに再調査して536件確認された」と言っていますが、これはつまり、約400万件の申請に対して金額の計算をすることなど、コンピューターにとってはものの数分で終わることを意味しています。その再調査はとっくに完了しているわけなので、長期放置とは全く無関係であると考えられます。

さて。

とにかくこの長期放置問題は根が深いです。不正受給との絡み、システム不具合との絡みもあって、なかなか解決できない問題となっています。

持続化給付金の申請受付は2021年1月15日に終了しますが、おそらくその後もしばらくは、長期放置問題の解決が依然として最重要課題となり続けるでしょう。1日も早い全面解決を願っています。

ぼくの考察

とにかくこの長期放置問題は、なかなか全容が掴めません。

その理由の1つは、事務局(サ推恊やデロイト)が、内部で発生していたと思われるデータ紛失や審査ミスを中小企業庁に正確に報告していないだろうということ。

他にも、コールセンターのオペレーターが申請者をバカにしたような態度で暴言を吐いた、などのような事例が起こっているようですが、これも中小企業庁にはどうやら報告されていないようです。

元請けが下請けの業務を管理するのは当然のことです。社会人経験がある方ならお分かりかと思いますが、業務の報告書というのはとても大事なものですし、もし報告書の内容に抜けやミスがあったことが後で発覚したら、上司や元請けは激怒しますよね。そのようにして業務の管理というのが徹底して行われるというのは、当然のことです。

しかし、どうやら中小企業庁と事務局(サ推恊やデロイト)の間では、それが正常に機能していない。だから、事務局の内部で何が起こっているのか、誰もわからないんです。

そして、長期放置問題の実態が掴めないもう1つの理由は、申請者の情報の不正確さ

申請者はよく「必要な書類をちゃんと提出しているのに、全然給付されない!」という声をあげますが、一体どういう書類を提出したのかがよくわからない。「不備連絡が来たので不備を修正した」という話はよく聞くけど、何をどのように修正したのかは誰も言わない。

もしかしたら、よくよく考えてみると本当に申請者の申請のやり方にミスがあって、そりゃぁ給付されなくても当然だという事例もあったのかもしれません。しかし申請者のほうはとにかく頭に血がのぼっていることが多いので、「ワシはちゃんとしたはずだ!」の一点張り。これではなかなか長期放置問題の原因を掴むことができません。

ある時僕は、長期放置されてしまっている人の発言を1つ1つ拾って、その人達がどういう申請をしていたかというリストを作ったことがありました。そこで興味深い事実が一つわかったのですが、50人ほどリストアップした内の実に6割以上が、2019年度の確定申告を、通常なら2020年4月15日申告締め切りのところを8月とか9月に申告していたのです。

もちろん、前年の確定申告の時期が持続化給付金の給付/不支給の決定に影響を与えるべきではないと思います。そんな条件、申請規程にはありませんからね。

ですが、その事実から、「もしかしたら期限外申告の人は、一旦『不正申請疑い』とマークされて、より詳細な審査を行うために時間がかけられてしまっているのではないか」という予想が立ちます。

我々外野の人間がそのような予想を立てたところでどうなるものでもありませんが、どんな些細なことでもさまざまな情報を正確に提供し合うことで、解決法が見えてくることもあるかもしれません。その点で、申請者側の申請情報は、とにかく圧倒的に不足していました。

「あなたはいつ確定申告しましたか?」「売上は何万円ですか?」「何県在住ですか?」などなど、そんなことをずけずけと聞くのは心が痛みます。しかも、長期放置によって給付がいまだに行われていない人に対して聞くのですから、なおさらです。

しかしそれでも、1人1人に丁寧に声をかけ、情報をたくさん集め、何人かの人を介して中小企業庁にその声を届けた人が居たという噂を聞いています。「噂」でしかないということはつまり、おそらくその人は、自分の名声のためとかではなく本当にただ問題解決のためだけに、人知れず多大な労力を割かれていたのでしょう。どこの誰かは存じませんが、その素晴らしい活動に脱帽です。

持続化給付金を通じて

持続化給付金を通じて、僕はいろいろな制度や法律を学びました。政治オンチの僕は野党合同国対ヒアリングというものがあることさえ知りませんでしたが、それも知ることができました。また、「官僚」とはどういう人間なのかを知ることもできました。

twitterを通じては、特に立憲民主党の原口議員に対しては、直接苦言のリプライを送ったこともあります。「あなたの官僚への追及はいつも論点がズレている。国民のための活動だとか言っているが、本当は票集めのためなんじゃないか?」と。

しかし逆に、彼ら政治家も結局のところは「政治ショー」の演者であり、それを演じなければいけないという葛藤もあるんだろうな、ということにも思いを馳せるようになりました。政治家というのも、その衣を脱ぎ捨てれば、普通に赤い血の通った、心のある人間なのかもしれませんね。

持続化給付金に関しては、何よりも「ジゾキュー界隈」という仲間と知り合うことができたのが大きいです。

いろんな立場やいろんな考え方の人がSNSで集まる中、全く考え方も思想信条も違うあまり、ブロックされた人も居ます。でもほとんどの人とは、たとえ考え方に違いがあっても、お互いに「そういう考え方もあるね」と認め合い、議論すべきときは多少強い言葉で議論し合い、それでも決して険悪になることなくお互いに成長することができたと思います。

ジゾキュー界隈のみなさま、本当にありがとうございます。

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