白色申告から青色申告へのステップアップ(1)/白色申告の簡易帳簿

8月 22, 2021

事業所得の確定申告には、簡単なほうの白色申告と、難しいほうの青色申告があります。青色申告には青色申告65万円控除(e-Taxを使用しない場合は55万円控除)や、その他もろもろの税制優遇があります。また、白色申告より青色申告の方が税務署などから信用されやすいというメリットもあります。

このシリーズでは、今まで白色申告をしていたけど、青色申告にチャレンジしてみたい・青色申告がどんなものかを知りたいという方向けに、青色申告へのステップアップに必要な考え方や記帳の仕方などを解説していきます。

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はじめに

国税庁では、主に白色申告をする人向けに、帳簿の記帳のしかたというパンフレットが公開されています。このパンフレットでは、以下のような簡易帳簿の記帳の仕方が解説されています。

簡易帳簿

書籍やWeb、講習会などでも、国税庁の指針に従ってこの形式の簡易帳簿の書き方を指導しているケースが多いようです。このシリーズでは、一度はこのような簡易帳簿を書いたことがある人向けに、順を追って青色申告へのステップアップを目指していきたいと思います。

シリーズを通して、上記のような簡易帳簿をこれまで作っていた、とある架空のアイデア商品開発フリーランスを例に挙げます。1月分と2月分しかありませんが、実際は12ヶ月分の帳簿があると思ってください。

この架空のフリーランスは、いろいろなアイデア商品を考えて製造しています。仕入先は「山田プラスチック」と「如月板金工業」、販売先は「たぬき家電」と「おもしろ商会」です。

架空のフリーランス

この架空のフリーランスは、自分自身では製造ラインを持ちません。山田プラスチックから材料を仕入れ、製品の製造は如月板金加工に依頼します。そして出来上がった商品を、たぬき家電やおもしろ商会に販売します。全てBtoBの取引です。

主力商品の一つはこちら、セーフティプラグ

家庭の電源コンセントで気を付けなければいけないのは、タコ足配線による火災。しかしこのセーフティプラグをコンセントに挿せば、1穴しかないので、タコ足配線ができません。つまり、火災を防ぐことができるわけです。素晴らしいアイデアによって開発されたこのセーフティプラグは大ヒット商品となっていますが、専属販売先のたぬき家電にしか卸していません。

もう一つの商品は、現在開発中の全自動卵割り器

全自動卵割り器

卵を機械にセットしてボタンを押すだけで、手を使わなくても卵が割れるというスグレモノです。まだ商品化はされていませんが、大手企業のおもしろ商会がアイデア企画の段階から資金提供をしてくれていて、現在は最終試作機を製作している段階です。

…という架空の物語で進めていきます。

簡易帳簿の考え方とメリット

当シリーズでは簡易帳簿の書き方は解説しませんが、簡易帳簿がどのような考え方をもとにして記帳されるのか、そして簡易帳簿にはどういうメリットがあるのかをおさらいします。

簡易帳簿はいわば、事業に関する収入と支出の一覧表です。事業というのは簡単に言えば、お金を支出して何かを作り、それを売って収入を得る活動です。そしてその差額「収入-支出」が、手元に残るお金(=利益)となります。簡易帳簿は、そのような事業活動を最もシンプルに表しているといえます。

また、簡易帳簿を列ごとに合計すると、それがそのまま収支内訳書の内容になるというわかりやすさがあります。

収支内訳書

Excelなどで作っておけば、売上や経費の種類ごとの合計額は自動的に計算されます。年間の合計額がとてもわかりやすく、収支内訳書への転記も簡単です。

やよいの白色申告の場合

我らが神アプリやよいの青色申告には、兄弟分の製品としてやよいの白色申告オンラインがあります。

なんとこの製品、無料です。ずっと無料です。青色申告のための帳簿作成や申告書作成はできませんが、白色申告のための簡単帳簿を作るだけなら、マジで無料なんです。すげええええ!

当記事のシリーズはあくまで白色申告から青色申告へのステップアップが目標なので、やよいの白色申告オンラインの解説はしませんが、パソコン記帳を全くしたことがない人は、ここから始めてみるのもいいかもしれません。

さて、やよいの白色申告オンラインでは、次のような取引帳を出力することができます。

取引帳

先ほどの国税庁指針の簡易帳簿に比べて、横幅がギュッと凝縮されています。売上や経費の科目ごとに縦に合計することはできませんが、紙面の横幅を大幅に節約できます。

もちろん、このような形式の取引帳も、白色申告の正式な帳簿として認められています。

では科目ごとに合計したいときはどうすればいいかというと、やよいの白色申告オンラインの機能で、ちゃんと集計表を表示することができるようになっています。

集計表

案件別集計表は帳簿としては認められない

事業をしていて何かモノを売る時、その一つ一つのモノや案件について、どれだけの金額で仕入れてどれだけの金額で売ったのかを知りたいときがあります。

売上と仕入の差額がプラスであれば、その商品の利益はプラスです。逆にマイナスになっていれば、その商品は赤字です。このように商品や案件ごとに黒字か赤字かを集計していれば、「もうこの商品を売るのはヤメようか」という判断がしやすくなります。

一つの商品、一つの案件、一人のお客様ごとに集計する方法です。それぞれの仕事でどれだけ利益が出ているかが一目瞭然です。このような形の一覧表で事業の利益を管理している人も多いのではないでしょうか。

しかし、このような案件別集計表は、白色申告の正式な帳簿としては認められません。正式な帳簿では、一つの行に複数の売上や経費を合算して記帳することはできません。必ず一つの売上で1行ずつ、一つの経費で1行ずつ記帳する必要があります。

一括記帳

白色申告の帳簿は基本的に「一つにつき1行」ですが、以下のような場合には合計額を一括で記帳してもよいことになっています。

  • 小売業などの現金売上については、日々の合計金額を一括記帳することができる
  • その他の業種であっても、少額な現金売上や現金仕入については、日々の合計金額のみを一括記帳することができる
  • 納品書や請求書に明細が記載されている場合は、その合計金額のみを一括記帳することができる(売上・仕入共に)
  • 少額な経費については、費用の科目ごとに日々の合計金額のみを一括記帳することができる

案件別集計表のような形式は白色申告の正式な帳簿としては認められませんが、自分用にこのような表を作っておくのは自由です。ちなみに僕も、あくまで自分用にですが、案件別集計表を常に作っています。

わかりやすい白色申告を捨てる勇気

今回の第一回の記事では、白色申告をしている人の多くが作ってると思われる形式の簡易帳簿についておさらいしてみました。

小規模なフリーランスや個人事業主にとっては、事業の利益がハッキリ集計しやすい簡易帳簿の考え方はとてもわかりやすいと思います。

次回の記事では、白色申告と青色申告の違いを解説します。特に、青色申告はガラッと根本の考え方が変わります。最初は、今までわかりやすかった利益の集計がどうなってるのかが見えてこなくて戸惑うかもしれません。でも、青色申告の考え方をしっかり身に着ければ、白色申告の簡易帳簿以上にいろんな切り口で事業の実態を把握することができるようになります。

今までのやり方を捨てるのはとても勇気が要ることですが、少しでもその手助けになれば、と思っています。

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確定申告青色申告

Posted by 4研DDT