持続化給付金2020年10月14日野党合同国対ヒアリングの感想

今回のヒアリングで持続化給付金について取り上げられたのはわずか10分ほどでしたが、重要な論点がいくつかありました。

また今回は、これまでのヒアリングと比べて議論すべき内容がしっかりと整理され、限られた短い時間の中でも有意義なやりとりが行われたように感じました。

過去のヒアリングの感想記事はこちら↓

また、ヒアリングの元動画はこちら↓(52:00頃~)

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国民が知りたい2つの重要な論点

まず野党側の参加者ですが、持続化給付金について発言したのは主に、原口一博議員と川内博史議員、そして毎回一般国民代表として参加しておられるAさん(仮名)。

回答する側の中小企業庁からは、7月頃からずっと変わらず、定光(さだみつ)総務課長。

このヒアリングはいつも持続化給付金だけでなく、家賃支援給付金・休業支援金・GoToキャンペーンなどについても同じ時間の枠で議論されます。今回も持続化給付金の話題に割かれた時間は短く、動画では52分頃からその話が始まります。

先に1点補足します。youtubeなどで公開された10月14日のヒアリングの動画には収められていませんが、どうやら動画収録前の冒頭の時間に、持続化給付金事務局のコールセンター業務の杜撰さを示す音声資料か動画資料の類が野党側から提出され、ヒアリング会場で流されていたようです。それが申請者へのインタビュー音声なのか、それともコールセンターとのやりとりの録音音声なのかは不明ですが、とにかくコールセンター業務が極めて質の低い業務を行っているということを示すのには十分な証拠資料だったようです。

さて、まずはいつもの通り、一般国民代表のAさんの質問と提言から始まります。

Aさん

今日は3項目あります。

1項目目。サ推恊版における中間検査の進捗状況についてご説明をお願いします。また、冒頭の動画資料でお聞き頂いた通り、デロイト版の事務局の業務実態もかなりひどい状況ですので、デロイト版においても検査を行うのかどうか教えてください。

2項目目。冒頭の動画資料(※おそらく、コールセンター業務が相当質が低いことを示す音声)のような問題がデロイト版で出ています。この状況は5月初頭のサ推恊版の混乱ぶりが再発したような状況になっています。例えば、申請に不備が出たけどもマイページで直そうとすると「修正」ボタンが押せないような、いわゆるシステム上の不具合も見かけられます。デロイト版でも結局このようなひどい状態になったことについて、中小企業庁はどのようなご見解でしょうか。

3項目目。フリーランスだけど給与所得で被扶養者の場合とか、売上減が49%のようにわずかに50%減に至らない事業者のケースとか、さまざまな「制度の狭間」に落ちて給付金の申請ができないケースをこれまでのたくさん報告してきました。中企庁は、このような方々をどうしたら救われるかということについて、お考えはありますでしょうか。また、そのお考えを縦割りの省庁の枠を超えて共有し、救済して頂くというようなことは可能でしょうか。

ここで「冒頭の動画資料(音声)」と言われているのが、前述した事務局運営のひどさを示す証拠資料のことです。ヒアリングの公開動画には収録されていなかったので詳細は不明ですが、例えばある申請者がいくら待っても審査の結果が連絡されないのでコールセンターに問い合わせてみたら「審査はもう通ってます。入金直前の状態ですよ」と言われ、別の日に再度問い合わせたら「審査は通っていません。申請内容に不備があります」と言われた話とか、「何度も電話してくるな」とコールセンターに言われたというような、著しく礼節を欠いた対応をされた話とか、その類のものだと思われます。

僕自身、似たような話をSNS上で何度も見たことがあります。そして、これはあくまで僕の肌感覚ですが、こういう「事務局運営のひどさ」の話の数は、5月から6月にかけては多く、7月8月頃は一旦少なくなり、9月頃からまた増えてきたという印象があります。

これはちょうど、最初に事務局運営を請け負ったサービスデザイン推進協議会(サ推恊)の初期の頃にあたる5月6月がひどく、その業務の習熟度があがってきたと思われる7月8月に減り、そして事務局運営自体がサ推恊からデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(デロイト)に変更された9月にまた増えてきた、と考えれば辻褄が合います。あくまで僕の推測ですが。

さて、Aさんが言われる1項目目と2項目目が、そのような事務局運営(審査業務・コールセンター業務)のクォリティ低下についての話です。これは、持続化給付金の運営の根幹に関わる重要な論点の1つです。

そしてAさんが言われる3項目目は、そもそも持続化給付金という制度は全ての「困っている人」を助ける制度になっているのか、なっていないなら制度を改善することは可能なのか、というこれまた持続化給付金の制度の根幹に関わる重要な論点です。

持続化給付金の「運営」については中小企業庁の権限で(もしやる気があれば)改善することができます。一方で持続化給付金の「制度」については立法が絡む問題なので、中小企業庁だけの判断では改善することができません。

どちらの論点も極めて重要ですが、これらを混同して議論すると問題の解決が遠のきます。

2つを別々の問題としてはっきり区別しつつ、どちらも国民が知りたがっている重要な問題であるということを端的かつ正確に、Aさんは述べられたと思います。

審査業務とコールセンター業務のクォリティ

Aさんの質問の1項目目「サ推恊版は中間検査が行われたけども、デロイト版は中間検査を行う予定はあるのか」については、現時点では予定はしていないという中企庁の回答でした。

この中間検査は、業務のクォリティを問うものというよりは、持続化給付金事業の委託に関する契約金額の適正さであったり、契約を締結する手続きの透明さであったり、というところの検査です。ちょうどこのヒアリングの2日前にあたる10月12日に、令和2年度持続化給付金事務事業の中間検査報告書という形で公表されました。

そして、2項目目の問題。Aさんは審査業務とコールセンター業務のクォリティの低さを指摘しています。

担当課長

現在(9月以降)の状況が5月当初と同様の混乱状態にあるというご指摘ですが、少なくとも5月当初と比較してコールセンターの人員は大幅に増やしておりますので、少なくとも電話の応答率に関してはかなり改善していると思っております。

確かに「コールセンターに何度電話しても繋がらない」という問題はありましたが、今指摘してるのはそこじゃないんですよ。クォリティの話なんですよ。コールセンターが正確な情報を把握しておらず適当な回答をしてしまったり、人として最低限の礼節すらを欠いたようなロクでもない人間にコールセンター業務をやらせたり、そのあたりがどうなんだ? って話なんですよ。

というわけで、その点について担当課長は回答を続けます。

担当課長

コールセンターとお客様とのやりとりに関しましては、個別に録音もしておりますので、もし不適切な対応があれば、それを個別にご指摘いただければ、私共でも確認の上、適切な…

原口議員

今指摘しましたよね。ひどい話だったですよね。

担当課長

あ、ちょっとすいません。それは、いつどこで、どういうコールセンターでのやりとりだったのかということを具体的にお示しいただいていないので、一方的に流れていた情報を真実だと信じてコメントしろと言われても、ちょっとそれは、控えさせていただければと思います。それから、次の話の…

コールセンターといえども人間なので、ごく稀に不適切な対応になってしまうことはあり得ます。もしそのようなことがあれば、具体的にそれを指摘してくれればちゃんと確認して是正する、というのが中企庁の課長の回答です。

しかしそれは、本来コールセンターの中で解決すべき問題だと僕は思います。個別に録音された電話のやりとりをコールセンターの中の上司なり調査部隊なりが聞き、おかしな点があれば客に言われるまでもなく自発的に是正する。それがコールセンターとしての正しい在り方だと思いますし、最低限のクォリティだと思います。そこを「客に指摘されたら直す」と後手に回っている姿勢は、クォリティが低いと言わざるを得ないと思います。

とりあえず中企庁が後手に回っていることは100歩譲るとして、原口議員の「今指摘しましたよね」以降を見ていきます。これは、例の冒頭に流されたという、コールセンターの質の低さを示す証拠資料の動画(または音声)のことを指しています。

これに対して中企庁は、「そんな真偽不明の情報にコメントしろと言われても困る」と回答したわけです。

ここで僕の見解を述べると、相手側から出された真偽不明の情報にはコメントしないというのは、それはそれで正しい対応だと思います。

「真偽不明」に関して言えば、少なくともその証拠資料は99%真であると僕は思っています。SNS上でも同じような証言がたくさんありましたしね。

でも、正確に「事実」をテーブルに並べて議論をするという場においては、「何月何日何時何分、申請番号xxxxxの申請者が○山○郎と名乗るコールセンターのオペレーターと会話したときの録音音声」であることを示し、さらにそれを示した側の野党と聞いた側の中企庁が「確かにその事実は存在した」と1日~数日かけて確認し合った上で、話を進めなくてはいけません。

何も、野党が出してきた動画情報がウソだと言っているわけではないのですが、正確な議論というのは正確な情報に基づいて行うものです。それを確認する時間も与えずに「この動画情報、中企庁さんはどう思う?」と聞くやり方では、議論を前に進めることはできません。

さらに、民主党の流れを汲む現野党の面々はこれまで、情報の真偽というものを甘く見過ぎてきたという経緯があります。今回の件に関しては偽情報だとは思いませんが、「悲痛な国民の叫びだから、この情報がウソであるはずがない」という軽率な姿勢は正して頂かないと、あの堀江偽メール問題の再来となってしまいます。

堀江偽メール問題

2006年、当時の民主党の永田寿康議員は、ライブドア元社長の堀江貴文氏が贈賄を行ったと指摘し、なおかつ永田議員は「証拠となる堀江氏が送ったメールを持っている」とし、そのメールの写しを公表した。
しかし後に、そのメールは全くの事実無根で、第三者によって捏造されたものであることが発覚。当時の民主党の幹部数名が責任を取って辞職し、さらに最悪なことに、捏造メールに踊らされてしまった永田議員は精神に支障をきたした後に2009年に自殺した。

情報の真偽の確認はこのようにとても重要です。中企庁の担当課長が先ほどのように回答して話を次に移そうとしたところ、野党側の川内議員が遮って、さらに切り込みました。

川内議員

あのね、今の課長さんの回答は、あまりにも現場を知らない、現場を管理していないと思わざるを得ないものですね。さきほど動画で紹介したコールセンターの状況というのは、
ほぼ、どのコールセンターにおいても、
ほぼ、どの方にあたったとしても、
同じような対応です。要するにコールセンターに居る人は、『お客様に適当に答えろ』というマニュアルでやっているということなんです。『待っててねー』とか『今やってますよー』とか『もうすぐ連絡がいきますよー』というふうに答えればよろしい、そして電話を切りなさい、と。そういうふうにマニュアルが作られてるんですよ。そんなマニュアルで現場を動かしておいて、課長さんが「個別具体的なことはわからない」とおっしゃるのは、それは違うでしょ? と原口先生はおっしゃってるんですよ。

非常に的を射た指摘だと思います。「コールセンターの質が低い」という情報が1つや2つなのであれば、それはその情報の真偽を確認しなければいけません。しかし、川内議員が言うのは「その情報は1つや2つという次元ではない。膨大な数の報告例がある」という話です。

そのことをはっきりと指摘するために川内議員は、「ほぼ、どのコールセンターにおいても、ほぼ、どの方にあたったとしても」というふうにゆっくりと冷静に、しかし強い口調で、なおかつ韻を踏んで述べました。

これまでこの野党合同国対ヒアリングは、全部が全部とは言いませんが、役人側の回答を途中で野党が遮って感情論に任せた言葉を無駄にかぶせ、声の大きさと速さで役人の思考を停止させ、「うろたえて回答に詰まる役人」という絵を撮りたいがための恫喝もしくはパフォーマンスと評価されても仕方の無いような場面が一部に見受けられました。

そんな茶番を脱却して、この川内議員のように冷静かつ論理的に議論を前に進める姿勢を、これからも続けていただけるよう切に願います。

担当課長

えー、まぁ、えー、これは私共の繰り返しの説明になりますけども、コールセンターの対応者に関しましては、委託先を通じて、しっかりと…

これまでわりと鉄壁だった定光課長も、これに関しては痛いところを突かれたようです。もはや誰が見ても「コールセンターがしっかりしている」とは言えないこの状況で、中企庁側が自発的に問題の是正に取り組んでいない(あるいは問題が起こっていることの報告を下から受けていない)という事実は、中企庁側の明確な落ち度だと思います。

そのような問題点を、恫喝やパフォーマンスと称されるようなやり方で引き出すのではなく、冷静かつ論理的なやり方で引き出し、中企庁が「是正を行う」と言わせるまで、そしてその言質を取るまで、追及していただきたいと思います。

下請け構造と委託契約金額

このような感じでコールセンター業務のクォリティの低さを追求され、それにしどろもどろになりながら答えていた担当課長。そこに原口議員が割り込み、話は別の方向に逸れてしまいました。

担当課長

えー、まぁ、えー、これは私共の繰り返しの説明になりますけども、コールセンターの対応者に関しましては、委託先を通じて、しっかりと…

原口議員

何次委託先ですか。あのね、サ推恊版については契約金額1億円以上の委託先が63社あるのにその中で社名が開示されているのは14社だけ。デロイト版についてはそれさえ無いですよね。それ、出していただけますか?

担当課長

それは開示しているはず…(後ろに居た付き人に何やら確認)、はい。

原口議員

何次下請けまでいっていますか?

担当課長

コールセンターに関しましては、博報堂さんがデロイトさんから仕事を請けて、関連会社の博報堂プロダクツに委託して、その下に数社が関連の仕事を…

原口議員

ということは、7次や8次とかではなくて、3次くらいだと。

担当課長

現時点で把握しているのは、あのー…

原口議員

いや、だって、川内先生もおっしゃったじゃないですか。ちゃんと日々ね、事務局とやりとりをしながらチェックしてるとおっしゃったんだから、何次まで下請けをしているかというのはわかるでしょ?

担当課長

7次や8次ということはありません。現時点で私共が把握している履行体制は(ここで再度後ろの付き人に二、三言確認)最新かどうかは確認を要しますけども、デロイトの下に、えー、(手元にある資料を指で数えながら)1次、2次、3次くらいまでの下請け構造があるというふうに理解しております。
しかし、別にこの下請けの数が問題だというふうには私共は思っておりません。各契約関係におきまして、しっかり下請け先の業務の適正な品質を確保するということは、えー…

原口議員

いや。下請けの数が、ね。ブランチ(※下請け構造図の「枝」のこと)の数が7次とか8次になるのが、それが問題でしょ? だって、途中で手数料を抜くわけだから。

原口さん。話ズレてますよ、原口さん。

まず下請け構造の話をしますと、大きな事業だと7次下請けや8次下請けというのはよくある話です。例えば持続化給付金だと、大きく分けても振込業務・審査業務・申請サポート業務・コールセンター業務・システム構築業務・広告業務などがあります。

これらのような別々の業種の業務を全て自社で行うことができる会社というのはありません。それどころか、下請けに依頼するにしても、これだけ業種の違う各業務を遂行できる下請け業者と広くコネクションを持っている会社はそうそうあるものではありません。

そこで出てくるのが、広告代理店という存在。その業界で1位独走なのが、サ推恊の下に入っている電通。そして2位がデロイトの下に入っている博報堂。この2社は2大広告代理店と呼ばれています。広告代理店はその名の通りもともとは広告業ですが、広告とは事業の要。つまり、広告のやり方を顧客企業に提案する力があるということは、そっくりそのまま、経営のやり方を顧客企業に提案する力があると言い換えることができます。

事業・経営というものに関して圧倒的なノウハウを持っている2大広告代理店は、あらゆる業種の下請け企業とコネクションがあります。このコネクションを構築するために100年以上の歴史をもって莫大な資金を投入してきたからこそ、「持続化給付金、できる?」と言われても「はい、できます」と言えるわけです。そこに手数料が発生するのは当然のことです。

だって、例えば僕が「1000億円あげるから持続化給付金やってよ」って言われても、できませんよそんなこと。「えーと、まず会場を借りるために不動産と建築と水道と電気と、んー、誰に頼んだらいいのかな?」ってなりますやん。

まぁそんなわけで、適正な契約金額であれば、多重下請け構造はよくある話です。下請けの段数を減らせばクォリティはそのままで費用だけが減る…なんていう単純な話ではありません。でも、本当に「適正な契約金額」なのかどうかは、大いに疑問ですけどね。

多重下請け構造のデメリットもたくさんあります。上から下への指示と、下から上への報告の体制が複雑になり、情報の伝達の質が下がりやすくなります。わかりやすく言うと、例えば現場の誰かがミスをしたとき、それを中企庁トップに報告するまでの途中の段階で「もみ消せる」タイミングがたくさん存在してしまうというような状態です。

川内議員はまさにそのことを言っているんだと思います。多重下請け構造によってどうしても発生しがちな、業務統制の難しさというデメリットのことを。「課長さん、あんた、現場からあまりにも遠いところにいるせいで、現場の事を何もわかってないでしょ?」と。

それに対し原口議員の論点は全く違います。多重下請け構造によって発生しうる「手数料」のことだけを言っているのが原口議員です。

これについてはハッキリと「否」と言っておきましょう。仮に7次8次下請けだったとしても、その末端下請け業者が日当2万円なり5万円なりを受け取れる状態であれば、クォリティは維持できます。そして、そのような優秀な末端業者を迅速に手配する費用こそが「手数料」の意味するところです。手数料=中抜きは、もちろん適正金額であるということは大前提ですが、それ自身も業務全体のクォリティ維持のためには必要な経費です。

手数料の存在自体がクォリティ低下の根本原因だと主張する原口議員に対して、僕はハッキリと明確に、それを否定させていただきます。

担当課長

そこの費用(下請け構造における手数料)につきましては、委託事業をルールに基づいて行うよう徹底しておりますので、いわゆる「抜く」という行為(必要以上の手数料を取る行為)があるかどうかに関しましては、あの…

原口議員

違法に「抜く」と言ってるんじゃないですよ。会社なんだから当然、契約して手数料を取るわけでしょ? 事務費がかかるから。そのことを言ってるんですよ。別に、搾取してるという意味じゃないですよ?

はい、墓穴掘りましたね、原口さん。

何度も言うように、必要以上の中抜きはダメです。あぐらをかいてるだけの中抜き業者に莫大な金が流れたら、そりゃぁ全体のクォリティは下がりますからね。でも原口議員は、「必要以上の中抜きを疑ってるわけじゃない。必要内の中抜きであっても、中抜きそのものが問題」と言い切りました。

そうじゃないんだよ、原口さん、仕事ってのは。しかも、せっかく川内議員が中企庁に対して是正を求めるべき点を明確にして話をしたのに、全然別の方向に話を曲げてしまって。もう、邪魔をするなら黙っててください…

余談ですが、フリーランスである僕自身も超巨大ゼネコンの9次下請けをしたことがありますが、日当は3万円でした。プロとして仕事をするのに、これくらいは適正な金額です。9次だからといって雀の涙しかもらえなかった、というようなことはありませんでした。

不正受給が横行している原因の1つがここにあるかも?

原口議員が一人で別の話をしていることはとりあえず置いといて。

とにかく中企庁は「業務全体を適切に管理している」と言っているのですが、現場の実態すら満足に把握していないのに「適切に管理している」とは到底言えません。そこを川内議員は指摘します。その指摘の中で、興味深い仮定の話がありました。

川内議員

課長さんの回答はいつも「適切に管理している」という言葉だけなんですよね。私共は前々から、コールセンターで使われている対応マニュアル、審査会場で使われている審査マニュアル、についてご開示いただき、「適切に管理している」というご説明が本当に正しいご説明であるか否かということについて確認させてくださいと申し上げているわけですが、結局それも開示してくれない。
1億円以上の契約金額の下請け業者が64社関わっているということですが、1億円未満も入れれば膨大な数の事業者が関わっているであろうというこの持続化給付金事業の中でですね、仮に、よからぬ勢力が給付事業を行う側に居たのではないか、という疑問さえ持っているわけです。だから不正な申請が横行して、大変な額を詐欺されてしまっているのではないか、という疑いさえあるわけです。
その疑いを払拭するためにも、この際きちんと情報を開示して、これからもきちんとした仕事をするために、お互いきちんとした議論をするために、私共が求める資料については開示していただきたいなと思うわけです。

確かに、中企庁の「適切に管理している」という言葉の信憑性は低いです。だから、例えば審査マニュアルでもなんでもいいので、信憑性を担保する資料を出してください、という川内議員の要求です。至極もっともなことだと思います。

そしてその先の話が「なるほど、ありえるかも」と思ったのですが、要するに、審査を行う側に詐欺師の仲間が居て、詐欺師が不正受給の申請をしてきたらこっそり合格にして入金する、という「内通者」的な輩が紛れ込んでいたのではないか、という仮定の話です。

まぁさすがにこれは何らかの情報をもとにした発言ではないと思いますが、「そう疑っても不思議ではない」というのは確かにその通りだと思います。どんなに堅牢な城門でも、その鍵を開ける内通者が城門の内側に居たら簡単に門は突破されてしまいます。なるほど、ありえない話ではないな…。

管理システムの名称は問題ではない

前回10月7日のヒアリングでこんなやりとりがありました。

事務局側で、審査の現在状況(審査前や審査中、不備返却中、入金待ちなどのいわゆる「現在状態」)に関して、コールセンターがそれを把握できてないと思われる事例がたくさんあり、データが事務局側で喪失してしまったという疑いさえあるという状況で、中企庁が「オンラインでデータを管理している」と答えたあとのやりとり↓

原口議員

オンラインって今おっしゃいましたが、これ、どんなシステムでデータを管理しているんですか? どんなデータの共有の仕方をしているんですか?

担当課長

それ…は…、システムの名称ですか?

原口議員

そうです。サーバー型のシステムなのか、あるいはブロックチェーンなのか、あるいはクラウドなのか。

担当課長

えーとすいません、そのシステムの名称ですとか、ブロックチェーンなのかクラウドなのかという仕組みについては今手元に情報がありません。事前に通告頂ければ、回答をご準備致します。

原口議員

いや、だって、それ基本的なことじゃないですか。そんな難しい話をしているわけじゃないんですよ。あなたがおっしゃったオンラインのシステムはどうやって組み上げてますか? いくらかかってますか? と。じゃあ、次回でいいですから出してください。

ブロックチェーンて。そんなの全く関係ありません。最近聞きかじった流行りの言葉を言いたかっただけでしょう、原口さん?

このあたりの仕組みについてよくご存じ無い方のために、1つたとえ話をします。

例えば「私はデロさん(仮名)に頼んで、パソコンを使って金額の計算をしてもらった。だから計算間違いは無いよ」と主張したとします。そこにこんな質問をされたらどう思いますか?

「それはどんなパソコンですか。Windowsですか? マウスですか? Macですか?」

いやいやいや。WindowsかMacかなんてどっちでもいいでしょ。どっちでも問題無いんだから、わざわざ「私」がデロさんのパソコンの種類を把握することなんてしてない。ましてや、マウスて。そりゃぁマウスかキーボードか何かは使うだろうけど、それってもう、WindowsかMacかっていう話ですらないし。そんなことより重要なのは、パソコンを使ってどんな計算をしたのか、というところでしょ。

原口議員はそんなレベルの質問をしてるわけなんですよ。でも、中企庁の担当課長もITの専門家じゃないので、「え、この人何言ってるんだろう? 下手に間違った回答をするわけにはいかないから、ちゃんと確認してから答えることにしよう」と思ったわけです。

そんな前回のヒアリングのやりとりを踏まえて、今回あらためてその件について。

原口議員

で、管理のシステムはわかりましたか?

担当課長

前回のヒアリングでご質問された件だと思いますが、デロイト版は博報堂がシステムの構築等を請け負っております。サ推恊版は電通国際情報サービスが請け負っております。で、データをどのように管理・運営しているかについて前回原口先生は「クラウド型なのか、サーバー型=おそらくそれはオンプレ型のことを指しておられたんだと思いますけども、そのいずれか等については、情報セキュリティの観点や事業者のノウハウの観点から、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

原口議員

ええっ? そうなんですか!
だって、デロイト版については、システムがダウンしてるんじゃないんですか? 不具合があったでしょう。 どんな不具合ですか?

中企庁の担当課長、その通り。100点。

要は、システムの名称じゃないんですよ。システムを使用していると言った時点で、よほど常識外れ(例えばパソコンじゃなくてそろばんでやってるとか)のことが無い限り、不具合や問題点の原因はシステムそのものには無いんです。

そうじゃなくて、システムを持続化給付金事業のために改造してメンテナンスした業者の技術スキルこそが問題です。だから中企庁は「博報堂」は「電通国際情報サービス」と答えたわけです。その博報堂なり電通国際情報サービスの技術力が高ければ良いシステムとなり、技術力が低ければ不具合の頻発する悪いシステムになります。

そして、前回の原口議員の「サーバーか、クラウドか、ブロックチェーンか」っていう全く無茶苦茶な問いかけに対して、担当課長は「オンプレか、クラウドか」という正しい言葉に言いなおした上で、その問い自体が本質的ではないので、回答を控えています。見る人が見ればこれはSalesforceという製品名の顧客管理システム(オンプレ型とクラウド型の両方があるのかな?)を使っていることはおおよそ予想がつきますが、敢えてそんな情報を漏らす必要もあるまいて。

クラウド

コンピューターを使ったほとんどのシステムは、オペレーターの人に1人1台割り当てられてる操作用のパソコンのほかに、データが集中的に保管されているボスみたいなコンピューターがあります。このボスのコンピューターのことを「サーバー」と呼びます。普通のパソコンよりバカでかいこともあれば、見た目普通のパソコンと全然変わらないこともあります。
そして、このサーバーが自社内に設置されているパターンを「オンプレミス(オンプレ)型」と呼び、インターネット回線を通じて自社外の施設に設置されているパターンを「クラウド型」と呼びます。
だから、どっちも「サーバー型」なわけであって、ここでも原口議員の言ってることはおかしいわけです。このあたりの言葉の誤用は、原口議員だけでなく別の議員も国会でやらかしてました。別にITの専門家になれとは言わないので、せめて中企庁の担当課長のように、専門家に聞いた話を一言一句違わない状態で手元に置いて議論してください。

「データの紛失は発生していない」という回答の疑わしさ

ブロックチェーンとかわけのわからないことで話が逸れそうになりましたが、軌道修正して、一番聞きたい話に戻ってきました。

担当課長

デロイトに関しましては、これまで基幹システムは停止することなく稼働を続けています。一方で、この大きなシステムの立ち上げを進めていた初期の段階で、部分的な不具合が散発的に発生していたというのは事実です。
ただし、冒頭にご指摘があったように、データが紛失したというような実害が生じているということではありません。あくまで部分的に…

原口議員

どうしてそれがわかるんですか? だって、実際にこの間も申し上げたけども、「自分(※申請者)の口座情報がどこにいったかわかりません」とコールセンターに言われたという事例が…

担当課長

あのすいませんっ。そのようなデータ紛失等のデータトラブルは、生じておりませんっ。

原口議員

いや…。じゃ、じゃあ、トラブルがあったという話(※野党側が独自に得た情報)はどういうことなんですか。川内先生がおっしゃるように、いい加減な調査報告をしているのか。本当にデータが紛失しているのか。その情報が何月何日のことであったか全部わかりますから、後でお見せします。

担当課長

その点は、例えばサ推恊版で申請したのを取り下げてデロイトで申請しなおしたとうケースが一部あったというふうに聞いていますけども、えー…

原口議員

いや、そうじゃなくて、デロイト。今度のはデロイト。デロイトで申請をしてですね、それから…

山井議員

すいません、定刻ですので、持続化給付金の話題はまた次回に。

と、ここで司会の山井議員からタイムアップが告げられました。

このやりとりは、申請者が申請したデータ(口座情報や添付書類など)が事務局側のサーバーから不具合によって喪失してしまったという疑いが当初からある件についてです。

※さっきの関連で言うと、仮にデータが喪失してたとしても、それはSalesforceという製品名のシステムを使っていたからだとか、クラウド型だったからとか、そういうこととは関係がありません。原因は、システムをカスタマイズして構築した博報堂なり電通国際情報サービスなりにあります。

いろいろなSNS上での証言を聞いた限り、僕はこのデータ紛失は発生していたと見ています。しかし中企庁はハッキリと「データ紛失は発生していない」と回答しています。この回答は過去にも数回ありました。

そう、これが問題なんですよ。この担当課長が事実を隠蔽していたらもちろん大問題ですが、さっき言ったように、現場のミスの報告がどこかで途絶えて担当課長まで到達していない可能性も大いにあると思うんです。

この問題は、「あんた本当のこと言ってるのか? ウソだと思うけどな~」みたいな感情論で追及するのではなくて、しっかりと「こういう事例が何月何日にあった。だから何月何日の業務報告を末端業者に至るまで正確に再調査してくれ、今この場でではなくていいから。そしてそれに先立って、再調査を具体的かつ正確に行うための方法論を提示してくれ。それも今この場でではなくていいから。」というような形で、事実と事実を突き合わせることによって、冷静かつ具体的に、そして論理的に追及していって欲しいと思います。

って思ってたのに、山井議員のゴングにより終了。

いつもいいところで山井議員が終わらせるんだよな~。いや、時間をきっちり管理してヒアリングを運営する司会という立場だから、さすがに私情でゴング鳴らしてるわけじゃないでしょうけどね。

残念ながら、Aさんの3項目目の「縦割り省庁の枠組みを超えて問題を解決することは可能か」に対する答えは得られませんでした。

ヒアリングはパフォーマンスか?

このヒアリングが行われた10月14日の朝、与党の武井俊輔議員がこのようなツイートをしました。

これに対して原口議員をはじめとする野党側は激怒し、twitterで反論しました。それだけでは怒りが収まらなかったのか、同じ日の午後に行われたこのヒアリングでは何度も「これはパフォーマンスではない」という発言が見受けられました。

僕はこの野党合同国対ヒアリングという場は、国民が本当に知りたいことを関係省庁から直接聞くことができる、貴重な場だと思っています。そのような場を開催してくださった野党の方に、感謝もしています。

その一方で、野党側の発言が具体性や論理性を欠き、感情論を先行させすぎて議論を停滞させてしまっている場面もたびたび見られます。「答えに詰まる役人」という絵面を得るためのパフォーマンスだと称されても文句が言えないような場面が、全部が全部ではありませんが、一部には見受けられます。

今回の10月14日のヒアリングでは比較的そのような場面が少なく、我々国民が本当に知りたいことを限られた10分程度の短い時間の中で多く引き出せたように思います。

今後もそのような形で、質のいいヒアリングになることを願っています。

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