持続化給付金2020年9月1日野党合同国対ヒアリングの感想

持続化給付金に関する野党合同国対ヒアリングは、これまでも週2か週3のペースで頻繁に行われてきました。当ブログで前回取り上げたのは、7月7日分のこちら↓。

この前回の記事から2ヶ月が経っていますが、その間も10回以上の合同ヒアリングは行われています。にもかかわらず当ブログで全然取り上げなかったのは、持続化給付金にまつわる本質的な問題に全然触れられてなかったからです。

特に7月からは「持続化給付金+GoToキャンペーン」のヒアリングとなり、他にも休業支援金や家賃支援給付金なども議題にあがったため、限られたヒアリング時間の中で持続化給付金について議論される時間はどんどん減ってきました。

最終的には時間の9割以上がGoToキャンペーンの話となり、残り3分で「持続化給付金が本来給付されるべき人に、切れ目ない給付を」と訴えるだけで終わるという形が常態化してしまいました。

いまだ制度の狭間に居る人や、不可解な審査で申請がリジェクト(申請不備による差し戻し)されてる人にとっては、この合同ヒアリングのやりとりが唯一の拠り所となっています。なのに、「GoToのほうが大事」という理由で、持続化給付金の議論は2ヶ月もの間、全く進んでいませんでした。

そんな中、この9月1日の合同ヒアリングは、めずらしく持続化給付金の議論を持ち時間の最初にもってきて、30分の時間をとってもらうことができました。

実際のヒアリングについては、以下の動画をご覧ください。

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野党から中企庁への質問

今回、野党側から問題提起されたのは、最長4ヶ月もの間給付されないような申請者が居るという異常事態に関して、以下のような問題点があるのではないかという指摘でした。

  1. 実態の見えない事務局構造問題
  2. 特例における判定基準の不均一問題
  3. コールセンター・サポートセンターの質の劣化問題
  4. フリーランスを中心とした多様な働き方をする事業者への仕様欠陥問題

最長4ヶ月もの間給付されない申請者が居るというのはつまり、持続化給付金の申請受付が始まった5月1日初日に申請した人が9月1日現在になってもまだ給付されていないという例が存在していることを言っています。

中企庁によれば、8月31日の時点で申請件数約340万件、給付済件数約320万件とのことでした。差し引き18万件がまだ給付されていないということになります。

確かに、1ヶ月以上審査に時間がかかっているケースは存在します。また、初日5月1日に申請したのに給付されていないという異常な例も実在しているようです。しかし、この「18万件が未給付」という数字だけを指して「審査が遅れている」と追及するのはアンフェアです。

本来ならば、次のようなデータを中企庁は提示すべきです。

未給付内訳の例

審査には通常1~2週間かかるので、8月16日以降に申請されたものが未給付になっているのは正常な状態です。また、特例などを使っている場合はそれ以上時間がかかる場合もあると明示されているので、8月9日以降の申請が8月31日時点で未給付なのもそれほど問題視することではないでしょう。

そのように、未給付であってもおかしくないデータを除けば、異常なほど審査に時間がかかっているケースはそれほど多くないはずです。

データを正しく検証するためには、このような時系列の推移を見ることが必須です。しかし野党はこのようなデータを要求してこない。中企庁も出してこない。茶番もいいところですね。

数字を多く盛りたい野党と、5月申請で未だに未給付な例が確かに存在することをハッキリとは言いたくない中企庁。その奇妙な利害の一致が、こんな茶番をさせてしまっているのでしょう。

加えて言うなら、5月申請で未だに未給付な例のほとんどは、振込先口座が不明で、しかも本人に連絡が付かないケースが大半だと思います。これは事務局側の問題ではありません。そこまで詳しく分析したデータをもし中企庁が出してきたら、野党はどう返事するでしょうかね。おそらく黙って次の議題に進めるか、論点をすり替えて話を脱線させるか、でしょうね。

何度も言います。そういう茶番は我々国民には必要無いんです。たった1件でも事務局側の問題(例えばデータ紛失)などによって未給付な例が存在するなら、中企庁はそれを明らかにし、野党はそれを改善するように中企庁に促す。それが、データを活用して問題を解決するということなんじゃないですかね?

実態の見えない事務局構造問題

ここからは、ヒアリングで挙げられた4つの問題点について、順不同で見ていきたいと思います。

余談ですが中企庁の担当者は、6月のいつかの段階で高倉課長から定光課長に変わっていました。高倉課長はヒアリングで病んでしまったんでしょうかね、知らんけど。

あと、この9月1日より、事務局の運営はサービスデザイン推進協議会(サ推協)から、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーに変更になっています。8月31日までに申請されたものについては引き続きサ推協が審査を行い、9月1日以降申請分についてはデロイトが審査するとのことでした。

さてこの「実態の見えない事務局構造問題」ですが、要するにサ推協以下63社存在するという下請け・孫請け・ひ孫受け…の委託構造を全て明らかにすべき、という問題です。

実際のところ、本当にその63社の全ての素性を国民に対して明らかにする必要があるのかというと、そういうわけではありません。そうではなく、持続化給付金の審査業務が混乱を極めている現在において、指揮命令系統がしっかりしているのか、というのが本来の要点です。

情報が共有されず、指揮命令が行き届かないような体制では、審査の質にバラツキが生じます。そんなずさんな体制になってるなんてことは無いよね? だったら63社の社名を出すことはできるよね? と野党は中企庁に迫っているわけです。

しかしこれに関しては結局、63社全ての名称を出すことを中企庁ははっきりと拒否しています。曰く、「同業者間の競争上の理由から、公表を嫌う業者も居る」とのこと。

確かに競争上の理由で社名を出されては困る場合はあります。しかし、ずさんな体制でないことを中企庁が証明するためには、この情報は出すべきだと思います。別に国民一般に公表する必要は無く、質問をしている野党にだけ見せればいい。でもそれができないということは、やっぱり一部にずさんな部分が残っているからではないでしょうか。

コールセンター・サポートセンターの質の劣化問題

8月に入ったあたりから、コールセンターやサポートセンターの質が劣化していると言われるようになってきました。例としては、

  • 申請者が「申請にミスがあったので一旦取り下げたい」と言うと、コールセンターから「今不自然に取り下げると不正の疑いがかけられ、二度と申請できなくなる可能性がある」と言われた
  • 「何度も連絡されると迷惑」とコールセンターに言われた

などです。1つ目の「不正の疑い云々」に関しては、不正対策の一環として実際に特定期間の申請取り下げに対してマークする、というような運用があったのかもしれません。そのような運用を行うこと自体の良し悪しの議論はありますが、コールセンターの人は「今はやめとけ、不正と一緒にされるかもしれないから」と、良かれと思ってアドバイスしたのかもしれません。

これを「申請者に対して『不正』だとコールセンターが言い放った」と解釈するのは少し無理がある気がします。しかし、生活がぎりぎりで精神的に追い詰められている申請者に対して、どのような言い回しであれ「不正」という言葉を使ってしまったコールセンターの人にも落ち度はあるでしょう。言葉の使い方を誤ってしまったと言えます。

2つ目の「何度も連絡されると迷惑」に関しては完全にコールセンターの人に非がありますね。まぁ、コールセンターの権限ではどうにもできないことなのに「申請を通せ」と何十回と言われたら言い返したくもなるでしょうが、そこはプロなのですから、我慢してほしいものです。また、そういう苦痛なコールセンター業務への精神的なケアを怠った事務局にも問題があるでしょう。

総じて、コールセンターやサポートセンターの質が当初の5月から8月にかけて徐々に劣化してきたという事実は否めないと思います。

特例における判定基準の不均一問題

先の2つの問題は、いわば「大きな」問題です。審査業務の体制がしっかりしていれば、審査の質も高くなるだろう。サポートの質が高ければ、それはつまり審査の質も高いということだろう。現在の審査業務は果たしてそのような「全体として良いもの」になっているのかどうか? というところを問題にしています。

もちろん、そのような「大きな」問題も重要です。しかし、我々個々の申請者にとっては、例えば委託63社が明らかになったとしても、直接それが給付に結び付くわけではありません。

こういう「大きな」問題は、政治の場で議論すべき問題であって、我々個々の申請者が拠り所としている合同ヒアリングの場ではもっと直接的なことを議論して頂きたい。直接的な問題が今どういう状態にあるのかということこそ、合同ヒアリングで発信してほしい。それが率直な僕の気持ちです。

さてこの「特例における判定基準の不均一問題」はまさに、その「直接的な」問題のうちの1つです。この問題は主に、いわゆる開業特例を使って申請した場合に多く起こっている問題です。

例えば、2020年1月から3月の間に開業した事業者は、「C-1 2020年新規開業特例」を使って申請することになります。そのときに必要な提出書類は以下のものになります。

C-1証拠書類
持続化給付金申請要領より

通常、2020年3月31日までに事業を開業した場合、事業開始から1ヶ月以内に開業届を提出しなければいけないので、5月1日の時点では開業届が提出されていることになります。

しかしこの開業届というのが厄介で、事業開始から1ヶ月以内に提出するのは義務として定められているのですが、提出しなくても罰則はありません。そのため、提出せずに放置している人も多く居ます。税務署も、「まぁ1ヶ月過ぎても(税務上は)大丈夫ですよ」とアドバイスすることが多いです。

特に今年はコロナ禍で税務署に出向くことが困難な人も居るということで、開業届の提出期限はかなりゆるゆるでした。

そのため、上記の提出書類の「4.開業届」が用意できない人が多く、代替書類「4′.開業日等の記載がある公的機関が発行/受領したことが分かる書類」で持続化給付金の申請を行うケースが多くありました。

このいわゆる「4’」が、判定基準を不均一にしている大きな要因の1つです。

例えばある飲食店経営者が市から食品営業許可証を2020年3月31日までに受け、その許可証の写しでもって持続化給付金を申請したら、無事審査を通過して給付された。しかし別の人が同じように食品営業許可証で申請しても、その人は審査を通過しなかった。これは判定基準が不均一なのではないか? という問題です。

この判定不均一の実態は僕も非常に興味があります。これに関する合同ヒアリングのやりとりを見てみましょう。

担当課長

この開業特例に関しては、審査が均一になるようにガイドラインに従うことを厳しく指導しています。同じような書類を出して頂いていても審査が通らなかったということであれば、それはおそらく「公的機関が発行している書類」という要件を満たしていなかったか、開業日がわかる日付の記載が無かったか、という可能性が高いのではないかと考えております。

野党

申請者のほうが悪いとおっしゃっているのですよね!?
例えば、私もいっぱい聞き取りしましたけども、県のアンテナショップで仕事をしていて、それでもダメだと言われるのはどうしてですか?
公的機関で仕事をして、ですよ? 県のアンテナショップですから。あなたはそれ、厳しく指導していると言いますけど、サポートセンターが研修無しの1日単位のバイトの募集をしているんですよ。

あー、これだ。茶番の政治パフォーマンスだ。国会でよく見るやつだ。始まっちゃったか、茶番が。

実際のところ、審査が不均一かどうかは不明です。野党が言うように、全く同じ書類を提出したのに、一方は審査パスで一方は審査リジェクト、という例もゼロでは無いと思います。しかし多くの場合は、本当に書類の内容に不備があった可能性が高い、と中企庁は言っています。

ここで野党は、具体的にAさんはこの書類を出してBさんはこの書類を出した、しかしAさんは通ってBさんは通らなかった、という例を提示すべきです。であれば中企庁に「その例に関してはすいません」と言わせることができたものを。

それを「あんた、何もかも申請者が悪いとでも言うのか? じゃあこのアンテナショップの例(もちろん質問通告してない、いきなり出してきた例)はどうなんだ? そもそも審査業務の研修内容が悪いんじゃないか?」と、畳みかけるように論点をズラす。ほんと、そういう茶番は国会だけでやってくれ。

ちなみにアンテナショップというのは僕も知らなかったんですが、自治体が運営する、その地方の特産品などの販売促進を主目的とした店舗らしいですね。自治体が運営しているので、そこに店舗を出す事業者は自動的に自治体から公認されてるってことでしょ? という論理です。

その例でも、確かに自治体公認で店舗を出していることは明らかだとしても、それを証明する確かな書類を申請者が提出したかどうかは不明です。審査というのは厳密に行われるべきであるからこそ、先の「4’」の書類が提出されているかどうかが唯一の判断基準であるはずです。もしそのような書類も無く「アンテナショップやってまんねん」って一筆だけなら、審査が通らなかったとしても文句は言えないかもしれません。

この「4’」、つまり「開業届に代わる公的機関発行の書類」に関しては、以前のヒアリングで中企庁が以下のように言及しています。

担当課長

公的機関発行の書類でなくても、開業日が明らかにわかる書類であれば審査が通るように、柔軟に対応します。

つまり、厳密には審査をパスできないけども、ルールを逸脱してでも、できるだけ多くの申請が通るように柔軟に対応するということです。

公的機関ではない民間の企業や団体が発行した書類であれば、まずその正当性をチェックしなければいけません。それを発行している団体が本当に実在しているかどうかを調べる必要もあるでしょう。そのような手間をかけてでも、できるだけ審査を通すというわけです。

もちろん、その分審査に時間が余計にかかってしまうこともあるでしょう。その「柔軟な対応」こそが審査の不均一を生んでしまう原因になってしまうこともあるでしょう。できるだけ多くの人に給付されるようにするために「あいまいさ」を敢えて残すというこの判断は、果たして正しかったのでしょうか、間違っていたのでしょうか。僕にはどちらとも言えません。

少なくとも僕が思うのは、その「あいまいさ」ゆえに、永久に中企庁は厳密な審査基準を公表することができないジレンマに陥っているということです。「公的書類以外にも、これとこれとこれはOK」みたいなことを発表してしまえば、じゃぁそれ以外はダメなのかということになってしまう。

あいまいさを追求しつつ、あいまいさに助けられている部分もある我々。結局、中企庁と野党で「なんか追及し合ってます」っていう茶番を続けることが実は最適解なのかもしれないと思うと、なんかモヤモヤしてしまいます。

多様な働き方をする事業者への仕様欠陥問題

これも我々が興味のある重要な問題です。1次で事業所得者、2次で雑所得・給与所得フリーランスへと持続化給付金の対象が拡大しましたが、2次のほうは国民健康保険に加入していることが条件で、かつ扶養に入っていては対象になりません。

持続化給付金にも休業支援金にも救われない「制度の狭間」に落ちてしまった人が居るのは事実です。これについては、事業者とは何ぞや、労働者とは何ぞや、という問題と共にいくつもの論点が複雑に絡み合っています。

その中で、この持続化給付金は、さらなる対象拡大の可能性はあるのか?

これが我々国民の一番の関心事です。しかし、これまで何度も行われてきた合同ヒアリングを見て、僕もそろそろ気付いています。そのような制度の問題は、あの場で中企庁の担当課長を問い詰めたところで何も変わらない、と。

メロスには政治がわからぬ。僕にも政治はわからぬ。担当課長の立場と権限で制度を変えることができるのかどうかは僕にはわからないし、経産大臣が出てくれば解決するのか、総理が出てくれば解決するのか、そういうこともよくわかりません。

わからないから、知りたいんです。あそこで担当課長を問い詰めてもどうにもならないのなら、はっきりそう言って欲しい。政治の力が必要なら、そう言って欲しい。それもわからず、「もしかしたらいつか対象が拡大されるかも?」と待っているだけなのは、もう終わりにしたいのです。

ちなみにこの「仕様欠陥問題」については、中企庁の回答はありませんでした。というのも、先ほどの「判定基準の不均一問題」から話は「サポセンの人数は何人?」とかいう話に移り、ごちゃごちゃ茶番をやってる間に持ち時間の30分が過ぎてしまったからです。

国民が知りたいこと

政治は大事です。この持続化給付金という制度や業務が曇りなく遂行されているかどうかを追及することはとても大事なことです。

でも、我々国民が本当に知りたいことはそこではありません。

今のままでは制度を変えられないのなら、そうはっきり言って欲しい。できないことを「できない」と知ることも、我々にとっては重要なことなんです。

僕は最初の6月や7月の合同ヒアリングを見たとき、「これは国会でよくあるようなつまらない政治パフォーマンスとは違う。我々が知りたいことを明らかにしてくれる」と感じました。しかしそれは思い過ごしだったようです。結局は国民不在の政治パフォーマンスに終始するいつもの茶番になってしまいました。非常に残念でなりません。

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