持続化給付金2020年9月30日野党合同国対ヒアリングの感想
9月30日に行われた野党合同国対ヒアリングでは、5月当初に持続化給付金の申請したにもかかわらず9月末になってもまだ給付に至っていないような、いわゆる「長期放置」の問題が取り上げられました。
今回はそのヒアリングでのやり取りを書き起こし、僕なりの感想を加えていきたいと思います。
※この日のヒアリングではもう1つ、9月23日以降に事務局から申請者へのメールの中で、追加書類の提出依頼が突然記載されるようになった件も取り上げられました。そのことについてはまた別の機会に解説できればと思います。
過去のヒアリングの感想記事はこちら↓
また、ヒアリングの元動画はこちら↓(46:10頃~)
新規開業特例について
ヒアリングは、質問する野党側は大部分が原口一博議員。所属政党がコロコロ合併と分裂を繰り返してるので何党だったか忘れましたが、とにかく原口氏です。それと、一般国民代表として、持続化給付金の改善に尽力されてきたAさん(仮名)がいつも通り参加しておられます。
回答する側は中小企業庁の定光(さだみつ)総務課長。
さて、以下にそのやりとりを書き起こしました。冗長なところや細かい言い回しは文字数の関係でカットしたりしています。
まず、今まだ支給されていない申請が何件あるかを教えてください。
あと、種類。B-1とかC-1とか、D、D-1。
B-1、C-1というのは、新規開業特例というものです。2018年以前から開業している事業者は一般申請、2019年に開業した事業者はB-1特例による申請、2020年1月~3月に開業した事業者はC-1特例となります。
B-1特例の場合、一般申請の提出書類に加えて、さらに開業届の提出も必要になります。C-1特例の場合は開業届のほかに、収入を証明するための税理士が署名した申立書が必要になります。
B-1特例の対象者、つまり2019年開業の事業者は、最初の確定申告の期限が2020年4月16日です。ということは、「持続化給付金という制度が5月1日から始まるらしい」という噂を聞きつけてから確定申告をしてもギリギリ間に合うタイミングになっています。
これは逆に言えば、不正受給をたくらむ輩にとっては虚偽の確定申告をしやすい状況となってしまっています。そのため、正当な申請者と不正受給者を見分けるために一般申請より提出書類が多くなってしまうことは致し方ありません。
C-1特例の対象者、つまり2020年4月以前開業の事業者は、一度も確定申告をしたことがありません。ですので、2020年1月~3月の収入の正当性を証明する必要があります。それを税理士の署名がある申立書によって証明するというこの形も、またやむを得ないことでしょう。
2020年4月以降開業の事業者は持続化給付金の対象外です。コロナウィルスによる経済の悪化がわかっていて、しかも持続化給付金という制度があることを知った後で開業し、「はい、売上有りませんでした、給付金ください」というのはさすがにまかり通らないからです。
その一方で、4月開業を目標に数か月前から着々と店舗借り入れなどの開業準備を行っていたものの、3月4月と開業予定日が近づくにつれコロナウィルスの経済への影響が増加してしまい、開業をやめるにやめられず開店休業状態となってしまった事業者も居ます。
前者のようなケースは対象外だとしても、後者のようなケースの事業者が対象外になってしまうのはいかがなものか、という議論も今なお続いており、解決すべき1つの議題となっています。
新規開業特例はこのB-1とC-1だけです。そう、DとかD-1という特例は存在しません。野党の議員は持続化給付金のことを知らないのでしょうか。知らずにこの場で発言しているのでしょうか。一体何と勘違いして「D-1」という言葉を発したのかはわかりませんが、官僚に対して常日頃「国民に寄り添うべきだ」と主張している野党。僕にはこういう野党の姿勢も、あまり「国民に寄り添ってる」とは思えないのですが。
5月1日(申請受付初日)申請者のうち、未給付の件数
いきなり「D-1」とか言い出したから「ほへっ!?」って思いましたが、とにかく野党が聞いているのは、今まだ支給されていない申請の件数です。
5月1日(申請受付初日)に申請のあった方が約18.1万件です。そのうち、昨日(9月29日)までに給付された件数が約18万件です。約3000件がまだ給付に至っていません。
18.1万-18万だと残り1000件じゃん、って思いましたが、どっちも「約」なので、まぁそこは誤差でしょう。
この約3000件の未給付の内訳については不明です。事務局側の問題による長期放置のモノもいくらかはあるかと思いますが、ほとんどは申請者が音信不通になってしまっているモノじゃないでしょうか。
メールアドレスの記載ミスによる音信不通や、虚偽全開の申告書で申請をしたけども後でビビってしまって放置してしまっている不正受給未遂者など。そのあたりの割合も、できれば教えて欲しいですね。
5月申請者のうち、未給付の件数
5月の申請者は約143万件です。そのうちの未給付件数についてはまだ集計ができておりませんので、この場では数字を持ち合わせていません。えー、それから、
集計できてないって、おかしいでしょう! だって、こういうことをやるのがサービスデザイン推進協議会じゃないんですか?
質問の通告を頂いたのが今日でありますし、我々そんなに細かくは集計しておりませんので、例えば5月とか6月とかで集計しようとすると、また現場の何かの作業を止めて、集計作業を優先的にしなければなりません。
ちょっと待ってください。僕らが言ってるのはそんなことじゃないんですよ。5月にどれくらい申請してどれくらい給付されたかというのは、そんなの、工程管理の一つじゃないですか。
この場でいろんな形で毎回毎回お尋ね頂く数字の日付だったり分類だったりが変わってくるものですから、我々基本的になるべく現場の審査と給付を最優先に作業を組んでまして…
そういう「頑張ってる」とかいうのは言わなくて結構です。あなた方が工程管理して、何をどうチェックしているかというチェックリストだけ出してくれればいいですよ、別にこれに答えなくても。
5月に関しましては申し上げた通りです。そして昨日(9月29日)までに申請があったのが約366万件です。そのうち約341万件が給付済です。残り約25万件が給付に至っていません。以上です。
このやりとりが今回のヒアリングの大きなポイントの1つです。詳しく見ていきましょう。
5月1日~5月31日に申請があった143万件のうち、9月29日時点でまだ未給付なのは何件か? というのが野党の問いです。しかし、この質問通告はヒアリング当日に行われました。ヒアリングは午後開催なので、午前中だったのでしょうか、とにかくギリギリの質問通告です。
これが野党のいつものやり方です。質問通告しなかったり、ギリギリになって質問通告したようなことを質問して、中企庁が答えられないと「なぜ答えられないんですか!」と恫喝する。そして、次回に同じ質問をするかと思いきや、そうではない。
要するに、中企庁が答えられないという様子を野党は見たいんです。そのザマを動画で流し、「役人はダメだ。それを我々野党が追及するッ!」とアピールしたいわけです。
実際の数字なんてどうでもいい。なんなら、数字を言って欲しくないまであるかもしれません。具体的な未給付数などの数字が出れば、いくらかは中企庁の落ち度がある反面、いくらかは中企庁がしっかりやってる部分も見えてきます。
野党にとっては、わずかでも「中企庁もやるときはやる」という証拠が出てはマズい。だから、「数字出せないだろ、どうなってんだ!」とだけ吠えて、実際の数字は出させない。
野党はそれでいいかもしれないですが、我々国民はそれでは困るんですよ。数字の出せない中企庁を追求するのは、いい。しかし、次回に同じ質問をしないというのはどういうことか? せっかく知りたい数字が出ると思ったのに、結局お蔵入り。ちゃんと国民に寄り添ってくれないですかね?
まぁ、野党の言わんとしていることもわかります。「チェックリストさえ出せば、数字は出さなくていい」と言ってる通り、野党が求めているのは数字そのものではなく、精密な集計とその推移を常に担当課長のアンタが把握して日々の改善に真摯に努めろよ、という要求です。
ではこの「5月申請者数のうちの未給付件数」というのが、そんなに集計するのが難しいかどうかという話。
データ管理の責任者であれば、どんな切り口の集計でもすぐに行うことができます。聞くところによると、持続化給付金の受付システムは、有名な顧客管理システム「Salesforce」というのを使っているらしいです。多数の実績がある顧客管理システム(CRM:Customer Relationship Management)ですから、ボタン1つであらゆる集計をしてくれることでしょう。
また、想定していないイレギュラーな集計であっても、それなりの技術者ならその場でささっと集計関数を組み立てて、集計を実行することができます。Excelのようなものを想像してみてください。ちょっと難しいけど、うまく関数を組み合わせれば集計できそう…ってやつ、ありますよね。
これはExcelではないので、SQLと呼ばれるデータベース操作用の専用言語を使ったりしますが、まぁ難易度的にはExcelのそれと似たようなものです。
あらかじめ想定された集計ならそれこそものの1秒か2秒、想定外の集計でも並の技術者ならちょちょいと1~2分で集計関数を組み立てて、コンピューターの集計実行はやはり1秒か2秒程度。とにかく、技術的にはそんなに難しい話ではありません。
しかし、言われた切り口で集計して即座に回答することの難しさは、別のところにあります。
データ管理の責任者というのは、ある程度何段かの下請けの、さらにその中での専門部署に所属しているはずです。中企庁の担当課長から現場のデータ管理責任者に指示が届くまで、何人もの人間を介する必要があります。そして、データ管理責任者からの集計報告を中企庁の担当課長が受けるのに、また同じだけの人数を介する必要があります。
指揮命令系統というのはそういうものです。ダイレクトに現場責任者に連絡が取れるようにしておけば簡単と思うかもしれませんが、万が一指示や報告にミスがあったときに、責任の所在があいまいになってしまいます。
これは日本風の組織体制の良い部分でもあり、同時に悪い部分でもあります。持続化給付金という制度は常に多角度的なデータ集計が迅速に必要とされる制度なのだから、もう少しそのあたりのスピード感を改善してもらいたいという気持ちは確かにあります。しかし、ある程度の指揮命令系統の段階を踏む慎重さを選択している中企庁を、一概に責められない部分もあります。
迅速にデータ集計の対応をするのが難しいのはわかった。では、あらかじめあらゆる集計を毎回担当課長まで報告するようにしておけばどうか? 野党の言わんとしているのはこれです。緻密で詳細な工程管理をし、その報告書を毎日担当課長は受け取るべきだ、と。
5月申請者の申請件数と未給付件数、6月申請件数と未給付件数、というふうに月別の数字を毎日把握するのはもちろんです。でも、それで安心していたら、どうせ野党は「5月の第一週はどうですか? え、わからない? なんで週別の数字がわからないんですか!」と言ってくるに違いありません。
じゃあ週別に集計しておこう。そして、単に現時点での未給付件数だけじゃなくて、給付までにどれくらいかかったのかも集計しておこう。そうなると、こんな感じの2次元の集計表になるはずです。
これだけじゃありません。さらにこれを、一般申請・B-1特例・C-1特例に分類しなくてはいけません。法人・事業所得個人事業者・雑給与所得フリーランスに分ける必要もあるかもしれません。
いよいよめまいがしてきそうです。ページを分けてもいいかもしれませんが、とにかくものすごいデータ量です。集計自体はコンピューターが行うので一瞬ですが、毎回これだけの量のデータを紙に印刷して持参してヒアリングに臨むという話になります。
僕としては、めまいがしてでも、中企庁はこれくらいのデータは持っておくべきと思うところがあります。しかし、どれだけ事前集計データを増やしても、中企庁をとにかく追及した野党は、さらにここには無いデータを要求してくるかもしれません。
いたちごっこになるくらいならこんなデータは意味がない…と思う中企庁の気持ちもわからないでもないですが、一度何十ページもの分厚い資料を持ってヒアリングに臨んでみてはどうでしょうか。「中企庁もやるときはやるんだ」と思わせるくらい、分厚いヤツを、ね。
このやりとりについては、あと1点問題点があります。
中企庁は、「データを集計するには、審査や給付を一時ストップしなければならない」と言ってしまいました。これはダメですね。データの集計なんてものは、審査や給付の業務を一切止めることなく同時並行でできます。
データ管理責任者が普段行っている別の通常業務や、その責任者に指示をする上役の通常業務が一旦滞ることはあるかもしれません。中企庁はその意味で言いたかったのかもしれませんが、度重なる野党の追及に半分キレてたので、ついイライラして「審査や給付がストップする」と言ってしまったのでしょう。これはマズかったですね。
最後には野党の言ってることを無視して、「5月は今言った通りです。そして現在までの総計はこれこれです、以上」と締めくくったあたり、相当イライラしてたんじゃないでしょうか。
特例ごとの未給付件数
とにかく5月の未給付件数の話は終わり、次に一般国民代表のAさんからの発言がありました。Aさんは5月当初からずっとこの野党合同国対ヒアリングに参加されていて、国民の目線から現状を訴えるということに尽力されています。
Aさんは前回のヒアリングで、一般申請・B-1申請・C-1申請という申請の類型ごとに未給付件数の数字を出してほしいという要望を中企庁に出しました。そのことに関する再度の説明になっています。
未給付件数の類型の分類がなぜ必要かということですが、申請者が「自分はあまり給付されてないけど大丈夫なのか」という心理的不安があって、各類型ごとの給付割合に疑問を持っています。その割合を把握することによって、各類型での審査における問題点を細かく掘り下げることができ、給付が遅れているという問題点を改善できるのではないかと思っています。そして、
属性ごとにまとめてますよね? D、D-1、まとめてますでしょ?
あー、もう。Aさんが発言してるのに邪魔するなよ…。そして何度も言うように、DとかD-1などという特例は存在しません。
申請件数に関しましては、属性ごとにまとめています。そのうち給付は何件かという形では、常時は集計していません。
常時じゃなくていいですよ。サービスデザイン推進協議会はもうじき閉じるんでしょ?(※注:審査業務を請け負っていたサ推協はまもなく撤退し、デロイトトーマツ社に移管されます)
これまででいいですよ。なんでかって言うと、Dの人にDダッシュで答えたり、もうほんと無茶苦茶やってるから、それぞれの属性でちゃんと審査されているのか、とAさんは聞かれてるわけですよ。
常時じゃなくていい? さっきは「常日頃ちゃんと工程管理をしとけ」と言ってたのに、今度は常時じゃなくていい、とは? こんなふうに言ってることが一貫してないから、「追及したいだけの野党」という印象を受けるわけですよ。
で、DとかDダッシュなんていう特例は存在しないわけですが、多分④と④ダッシュのことを言ってるんだと思います。
持続化給付金申請要領
B-1特例の場合もC-1特例の場合も開業届(証拠書類の④)を提出しなければいけないのですが、それがどうしても無理な場合は代替書類(証拠書類の④ダッシュ)でもよいとされています。「ダッシュ」という言葉が付くのはここだけですので、おそらく野党はこれと混同しているのでしょう。
で、「Dの人にDダッシュで答えたり」というのは、申請者がコールセンターに問い合わせても、コールセンターのオペレーターも④と④ダッシュを混同している場合があるということを言っています。コールセンターがわかってないのだから、審査者もわかってないのではないか、というのが野党の問いです。
細かな情報提供を要求する理由
野党が横やりを入れた後、Aさんの発言に戻ります。
これまでの事務局運営の杜撰さというのを鑑みまして、今後情報の透明性を高めて頂かなくてはいけないと思っています。そういった意味も含めて、細かな情報提供を行って申請者の理解を高めるようにして頂きたい。こういった理由から、各類型の未給付件数や割合の集計を是非検討して頂きたいと思います。
Aさんのおっしゃることはもっともです。ヒアリングの場ででも、中企庁のサイトででもいいので、たとえデータが膨大な量になってでも、細かな情報提供を行って情報の透明性を高めるべきだと僕も思います。
いちいちこんなやりとりで時間を割くのではなく、集計専門部隊と集計報告サイトを作ってリアルタイムに情報を公開すればいいのではないかと思います。
しかし、これもそう簡単な話ではありません。例えば、この9月中は給付件数が急激に減りました。それはおそらく不正受給の調査と関係があるように思われます。一旦審査を止めて、不正受給を摘発するにはどうしたらいいかを綿密に練っていた形跡があります。
そのように、やむを得ず審査のスピードが落ち、なおかつその理由をうかつに発表できないケースもあり得るかと思います。あまりに情報が透明すぎると、逆に物事を柔軟に進めにくくなるというのはよくある話です。そのサジ加減もまた、難しいところだと思います。
と、一通りAさんの発言が終わったところで、すかさず野党が発言してきます。
それは出るでしょ? D-1ダッシュに偏りがあるのか。
Aさんの質問に関しましては、先週その類型ごとの割合の集計をお尋ね頂いたときに、我々は「それを必要とする理由を教えてください」とお願いしました。そして今Aさんからそれをお示し頂きました。
これは常時このような形で集計しておりませんので、現場の作業に若干負荷をかけて他の作業が遅れたりということになるんですけども、今回に限りまして、えー、
その答えはおかしいでしょ!
えー、今手元に資料がありますけども、
じゃあ、くださいよ
申し上げます。9月29日時点での未給付件数は、一般申請の方が約96,000件、特例申請の方が約12,000件、B-1特例申請の方が約1,900件、C-1特例申請の方が約7,300件です。この数字は今回、他の作業を止めて集計しておりますので、毎回この数字を出せと言われますと、いろんな作業に支障が出ますので、今回限りということでご理解ください。
担当課長が言ったこの数字は、前回のヒアリングで質問があった数字です。このように、前回の質問で答えられなかったことを再度答えるというケースはあまりありません。ほとんどの場合、「中企庁が答えられない」で野党は満足して、次回に同じ質問をしないからです。
今回、そこのところをAさんが強く押したので、このように意味のある数字が得られたというわけです。
しかしこの担当課長、どうしても一言「次から次と即答不能な質問をしてくるな」と物申したかったのでしょう、「他の作業に支障が出る」というのを言わずにはいられないようでした。
先ほども説明した通り、指揮命令系統という意味では、その指揮命令作業に支障が若干出ます。ですが、審査現場の審査や給付業務に支障が出るということはありません。この違いは極めて重要ですが、中企庁も野党も、問題をごっちゃにして混同しています。
結局中企庁もわかっていなかった
担当課長が、一般申請・B-1特例・C-1特例での未給付件数を答えたあと、野党からさらに発言がありました。
なんというか、わかってない者同士が言葉遊びをしているだけに過ぎないという感じです。ここからはノンストップでご覧いただきましょう。
DとかD-1は?
それはご質問頂いておりませんでしたので、用意していません。
(ここで付き人から何か耳打ちされて)
えー、D-1というのはございません。
あー、ごめんごめん、Dダッシュだ。Dダッシュ!
すいません、ちょっとあのー…
あのね、それ、あなたが別の作業を止めてやる話じゃないでしょ? サービスデザイン推進協議会が…
あの、質問通告頂いていた質問にはきっちり回答しまし…
あなたが答えるんじゃなくて、サービスデザイン推進協議会が工程管理でやる話でしょ、って言ってるんですよ。どれがどれくらい滞ってるのか、という管理を。それは経産省がする話じゃないでしょう。『我々が』とおっしゃるけども、『我々』じゃないでしょう。
我々も事務局のほうに、いついつ時点でのこういう分類での数字を教えてください、というふうにその都度依頼をしなきゃならないわけですから、それは彼らも数字はきっちり把握していますけども、集計依頼がきた時点での数字をわざわざ集計しなきゃならない。そのような作業が発生することはご理解頂きたい。
不思議なんです。一体どんなシステムでやってるんですか? 単なる数字じゃないですか。コンピューター管理をしておけば簡単な話でしょう。そんなね、なんか今おっしゃったように、恩着せがましく、Aさんが聞いたからわざわざ作業を止めて「あんた達がこんなことで邪魔をしたから作業が止まったんだ」と言わんばかりのことを。そんなの、工程管理だから普通にやってる話じゃないですか。恩着せがましく言う話ですか?
もちろん、ご依頼いただければ…
オンラインで全部やってるんですよね?
…ご依頼いただければ、ご協力はさせて頂きますけども、毎回毎回このような形で数字を出してくださいということになりますと、現場に追加的な作業が…
そんなこと言ってないじゃないですか。要するに、あなた方は日々のルーティンをどんな形でモニターしているか、を聞いてるわけですよ。
サ推協は「現場」じゃないでしょう、「管理側」ですからね。しかも、持続化給付金のウリは全部オンラインでやりますってことなんじゃないんですか? オンラインでデータを管理して、データ種別ごとに自動的に数えるだけでしょう。ボタンを押せば数字は1秒か2秒で出るでしょう。
申請に関しては、特例なのかB-1なのかC-1なのか、申請段階では自動的にデータは把握しています。ただし給付済み件数ということですと、そこは審査の過程で、例えば通常枠で申請して頂いていたのに、よく審査してみると特例ではないかとか、そのように審査の過程で分類が変わってくることがあります。なので、給付ベースで出してください、ということになると…
分類も全部オンラインで変えられるでしょう。何を言ってるんですか。全部システムでやってるわけですから。まさか、全部手作業でやってるということですか?
いえいえ違います。オンラインです。
「現場の手を止めて」とか、そんなデタラメな説明をしちゃダメですよ!
いかがだったでしょうか。
野党の原口氏はあいかわらず、存在しない「D-1特例」などというものの数字を出せと言ってきます。当然そんなものの質問通告があるはずがないので、中企庁は「用意していません」と答えるわけですが、ここで後ろに控えていた実務担当者に耳打ちされて、「D-1というのはございません」と答えています。
つまり、中企庁のこの定光総務課長も、言われるまでD-1というのが存在しないことに気付いていなかったわけです。質問通告に「D-1」なんて言葉が無かったから「用意してない」と答えただけであって、質問自体がおかしいことに全く気付いていませんでした。
日々この持続化給付金に取り組んでいれば、例えば僕のように特例申請ではなく一般申請をしてとっくの昔に給付されて終了したくらいの「特例部外者」であっても、D-1なんてものが無いことはすぐにわかります。
それを、事もあろうに、中企庁の担当課長がわかっていなかった。これはいかがなものか?
全体のトップの責任者が実務をあまり知らないということはよくあることですが、それでもこれはあまりにも…。
そして、何もわかってない担当課長に対し、同じく何もわかってない野党の原口氏が「Dダッシュは?」と聞いてきます。Dダッシュなんてものも存在しません。なんですかこれは。なんのギャグで「質問と回答ごっこ」をしてるんですか。
実はここで、Aさんが原口氏に何か言っている場面がカメラに捉えられています。しかし残念ながらマイクには拾われておらず、何を言ったのかはわかりません。おそらく「Dダッシュも無いです」というようなことを言ったのではないでしょうか。
ともかく、「Dダッシュ」なんてものも当然質問通告には無いわけなので、担当課長は「それも質問通告に見当たらない」というようなことを言おうとしたのでしょう。
で、そんな感じで役人を困らせたら、さあ来ましたよ、いつもの野党ターンですよ。
サービスデザイン推進協議会がどうとか、違う角度から話をねじ込んできて、あとは追及の嵐を浴びせるだけ。もう、国民が何を聞きたいのかとは遠くかけ離れた話になり、Aさんが言うような「もっとしっかり把握してもらえば事態は改善される」という意味合いの追及ですらない。
そして担当課長も、おそらく下にデータ集計を指示した時に「それは下へ下へ指示するために時間がかかる」と直近の部下に言われたのを、「データ集計は審査を止めてまでやる必要がある」と曲解し、野党の横暴な無通告質問を拒否するための良い口実ができたと思い、ここぞとばかりにその武器を鞘から抜く。
返す野党は、データ集計自体の技術的な即時性と指示伝達の困難さを、天然なのかわざとなのか混同し、何もかもを1秒2秒で済ませろと言ってくる。
もう、無茶苦茶だ。
言葉遊びの議論劇場はどこにでもある話
中企庁側はその耳打ちした実務担当者。野党側は持続化給付金に本当の意味で心血を注いだAさん。この2人が直接話をすれば、多くの問題が驚くべきスピードで解決されていたことでしょう。
しかし、実務をよく知らない「上」と「上」が言葉遊びのような「議論劇場」をするというのは、実はどこにでもある話です。
このやり方を「日本風」とか「古い」とか、まぁ表現の仕方はいろいろありますが、スピード感を犠牲にする反面、責任の所在を明確にするという点においては、必ずしも粗悪な議論のやり方であるとは言い切れません。
僕だって誰だって、あの場に立てばこのような茶番を弄するよりほかにやり方が見つからないかもしれません。それどころか、僕だったらきっと、もっと質の低い議論しかできないでしょう。だから、どんな形であれとにかく、野党合同国対ヒアリングという場が開かれているということについては感謝しています。
しかし、「おまいう(お前が言うな)」を承知で申し上げれば、どうかもう少し、この茶番劇場を本当の意味で「国民に寄り添った」ものに改善して頂きたい。貴重な場であるからこそ、外野の第三者が言うのは恐縮ではありますが、どうかもう少し、今以上に価値のあるものにしてほしいです。
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