転嫁Gメン-消費税の転嫁拒否等に関する調査
今年も中小企業庁から封筒が届きました。「消費税の転嫁拒否等に関する調査」というやつです。消費税のおはなし(9)/消費税の転嫁でも解説したとおり、悪い取引先が不当に値下げを要求してきて苦しんでるならチクっていいよ、っていう調査です。
転嫁Gメン
いつの頃からか政府は、この転嫁対策調査官を「転嫁Gメン」と呼ぶようになりました。えっと、その名前はちょっと、うーん、どうなの? なんと言いますかそのぅ、ダサいです。
ダサダサネーミングの転嫁Gメンですが、こうやってちゃんと僕たちのようなフリーランスに封筒を送って、「あなたの匿名は守るから、困ったことがあったらチクってね」と言ってきてくれるのはありがたいことです。
10%増税後の回答用紙
今年は消費税が10%に増税されたので、質問内容が去年と少し違います。
こんな感じで、「消費税が10%になってから何か困ったことはないか?」という質問がいくつかあります。でも、去年は去年で、「来年の消費税10%に関して何か困ったことはないか?」という質問があったので、いずれにしても、増税というのは転嫁拒否が起こりやすいタイミングだということなのでしょう。転嫁Gメン、がんばれ!
さて、質問内容はというと、左下のDのところが一番肝心なところです。抜粋すると、
- 取引先から消費税分を支払ってもらえない
- 外税の取引で、支払の際に消費税分を差し引かれて支払われた
- 税込みの取引で、消費税率が10%になっても支払われた総額は増税前と変わらなかった
- 消費税は10%支払ってくれたが本体価格(税抜価格)を値下げされた
- 消費税率10%への引上げを理由に、先行して本体価格(税抜価格)を引下げられた
- 取引先の指定した商品を買ったり、サービスの利用、リベートの引上げに応じないと消費税分を上乗せしないと言われた
- 個人事業者、または免税事業者であることを理由に消費税引上げ分を支払ってもらえない
とまぁこんな感じです。こういうヒドい仕打ちを受けたことがあるなら、その社名をハッキリと書いて転嫁Gメンにチクってやるのじゃ、おらおら~。
なぜ消費税の転嫁拒否は起こるのか
これは消費税のおはなし(9)/消費税の転嫁でも書いたことの繰り返しになりますが、通常の値下げ交渉は転嫁拒否ではありません。また、消費税増税によって消費が落ち込んだ結果売上が厳しくなり、やむを得ず仕入先に値下げ交渉することも、違反行為にはあたらないと思います。
問題なのは、「消費税払わないよ」とか「消費税増税分払わないよ」とか「あんた免税事業者だから消費税払わないよ」とかの、とにかく消費税そのものを無いことにするような行為です。
これは値下げ交渉というより、「消費税ってなんだかわからないけど8%とか10%とかデカいじゃん? そんなの払わない」っていう感じの、なんていうか相手の無知に付け込んで値下げさせるというほとんど詐欺まがいの行為なんですよね。あるいは、「消費税払わない」と言ってる当の本人も消費税のしくみがわかってないのかもしれない。
つまり、消費税の転嫁拒否というのは、互いの無知によって起こると思うんですよ。
そういうのはダメ、ゼッタイ! ということで、転嫁拒否を取り締まると同時に、消費税のしくみを売る側買う側双方に周知させる役割、それが転嫁Gメンだと思うんですよね。
少なくとも僕のまわりでは
少なくとも僕のまわりでは、転嫁拒否なんて話は聞いたことがありません。BtoBなので、消費者向けの小売業と違って99,800円みたいなきわどい値付けをすることもないですし、常に税抜価格ベースで値付けをするので、消費税は完全に価格と切り離してお互い考えています。
ある程度ちゃんとした企業なら、会計上の消費税の扱いがどうなってるか知ってるはずですし、事業者が消費税に関して損も得もしないことを知っているはずです。ちゃんとした企業であればあるほど転嫁拒否なんて意味の無いことはしないと思うんですが、まだまだあるところにはあるんですかねぇ。
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