納税の義務とはどういう意味?

国民の3大義務の1つとされる、納税の義務。それって一体どういう意味なんでしょう?

「え? 税金を納めなければならないってことじゃないの?」

然り。確かにその通りなんだけど、僕の解釈はちょっと違う。僕は税法家でもなければ憲法家でもないただの一般人だけど、フリーランスになって9年目の僕が確定申告をしてきた中で、「ああ、これが納税の義務の本当の意味だったんだ」と感じたことを書き綴っていきたいと思います。

スポンサーリンク

納税の義務とは

第三十条
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

Wikipedia:日本国憲法第30条

まぁ、そのまんまですね。深い憲法議論に精通してる人にとっては、これを定めるべきか定めざるべきかとか、国の権利と義務・国民の権利と義務は何なのかとか、そういう難しい話も含んでいるらしいです。

が、それはこの記事の本題じゃないので触れません。というか、わかりません。

日本拳法宝鑑

↑違う、そうじゃない

申告納税制度

消費税やたばこ税などは何も考えなくても自動的に税金が課されますが、最もメジャーな税金である所得税などは、自分から確定申告をして税額を決定し、正しく納税しなくてはいけません。

申告納税制度(しんこくのうぜいせいど)とは、国等の税金について納税者自らが、税務署へ所得などの申告を行うことにより税額を確定させ、この確定した税額を納税者が自ら納付する制度である。

Wikipedia:申告納税制度

そう、これこそが納税の義務の本当の意味だと僕は思います。確定申告こそが納税の義務。税法家や憲法家の解釈は知らねェ。僕がそう感じたんだ。異論は認める。

確定申告をする人は少ない

しかしながら、確定申告を自分でしている人は少ないです。その理由は、この確定申告という難しい手続きをさまざまな人が代行してくれているので、確定申告の必要が無い人がたくさん居るからです。

例えば未成年などの扶養家族の場合、世帯主にかかる税金とその申告手続きは世帯主が行います。要するに、子供はお父さんやお母さんに税金のことを全部任せているわけです。

そしてそんなお父さんお母さん達も、その多くはサラリーマンなどの給与所得者であり、確定申告に代わる年末調整というのを会社がやってくれます。年末に2~3枚の年末調整の用紙にあれこれ書き込む手間はありますが、確定申告に比べれば大したことはありません。そして労働者側は、それに書き込んだら、ハイ終わり。あとは会社の経理課が何かをしてくれます。何をしてくれるか知らなくても、とにかく何かしてくれます。

会社が全部してくれる

だから国民の多くは、申告納税、つまり確定申告がどれだけ複雑で大変なことかをあまり知りません。例えば会社勤めを辞めてフリーランスになったような人は、突然やってくるこの確定申告の難しさが大きな壁となって立ちはだかります。

…いや、大きな壁があることに気付かないまま、確定申告というものを甘く見すぎて手痛いしっぺ返しを食らう人が多いのです。

なぜ自分から申告しないといけないのか

そもそも、なぜ自分から複雑な確定申告をして納税しないといけないのでしょうか。

人間1人の経済活動というのは実に多様です。その多様な経済活動を全て1つ1つ調査しようと思うと、税務署職員が何人居ても足りません。だから、自分から申告するのです。

自分1人の分だけの1年間の経済活動を全て明らかにするのだって、なかなか骨が折れる作業です。しかし、限られた人数の税務署職員が国民全員の経済活動を調査するのに比べたら、まだマシなほうです。だからこのように、自分から申告する制度になっています。

確定申告の正当性を担保するもの

ただ、自分で税額を計算して申告するとなると、さっぱりわからなかったり間違えたりする人もたくさん出てきます。わからないとか間違えるとかならまだいいのですが、悪意を持った人は虚偽の申告をして税額を不正に減らそうと考えるかもしれません。

そうならないように確定申告の正当性を担保しなければいけないわけですが、何がその担保となっているのでしょうか。

それはズバリ、信頼。

国と国民との、信頼関係。

「私は税制や確定申告を勉強しますよ、間違えないように注意を払いますよ、ましてや不正な申告などは決してしませんよ」という申告者の誓い。そしてその誓いを信じて受け入れる国。これぞまさに信頼関係。

もちろん、体育館のステージでマイクに向かって「宣誓ッ!」と言うわけでもなければ、小指に針を刺して滴る血で誓いの文字を刻むわけでもありません。

この誓いを立てたとみなされるのは税制上、法人(会社)と個人事業主(事業所得者)だけです。その他の人は、世帯主なり雇用主なりの「誓いを立てた人」に全てをお願いすることによって、申告納税制度の義務を免れます。

会社というのは実は、これだけのことを社員に対してやってくれていたのです。経理課のツンツンしたおねえさん(※注:イメージ)が社員のためにこれだけ大変なことをしてくれてたということを、あなたは知っていましたか? 社員というのがいかに会社に守られた存在であるかということを、あなたは知っていましたか?

僕も最初は知識が無かった

僕自身がどうだったかと言うと、8年前に会社を辞めて個人事業主となりましたが、最初は税の知識もあやふやで、そもそも事業として継続するかどうかさえはっきりとした意志を持っていませんでした。その経緯はこちらの記事で↓。

会社を辞めてからも僕にしかできない仕事があったため、とりあえずは個人事業主という形を取って少しの仕事をしました。でも、それで生きていくとかは考えてなくて、とにかく今は会社勤めの疲れを癒したい、またやる気が出てきたら別のところに就職しようかな、とか考えてました。

一応個人事業主という形を取った以上、確定申告をしなければいけません。自分なりに勉強して、とりあえず初年度は白色申告で確定申告をしました。その年の申告を乗り切ることで精一杯で、自分の経済活動に関係のあること以外はほとんど無知の状態です。税制の何たるか、確定申告の何たるかを到底語れるレベルではありません。

それどころか、事業の継続の意志が曖昧だったので、開業届すら出していませんでした。原則としては事業の開始の事実があった日から1ヶ月以内に開業届を出さなければいけないことになっていますが、開業届を出していなくても確定申告さえしてれば、特に罰則はありません。

そんなこんなでズルズル年月が経ち、結局4年間も開業届を出しませんでした。開業届を出していないので、4年間ずっと白色申告でした。

5年目に何があったかというと、前年の売上が1000万円を超え、消費税課税事業者として消費税の納税義務が発生したのがちょうどその時でした。

もうそろそろ「事業の継続の意志」というのも十分芽生えてきたし、ちょうどいい節目だ。というわけで、5年目に開業届・青色申告承認申請書・消費税課税事業者届出書を提出しました。今思えばここが本当の、僕の個人事業主としてのスタートだったと思います。

昔のデータや帳簿を見てみると、白色申告だった4年目以前と青色申告に変更した5年目以降で、明らかに書類の整備の仕方が変わっています。個人事業主として確定申告を正しく行い、税の知識を得ることに前向きな気持ちになったターニングポイントがはっきりデータに表われていました。

そう、僕だって偉そうなことは言えないのです。

「個人事業主は国から信頼を得るに足る納税義務者」などと偉そうなことを言いましたが、最初の4年間の僕はとてもその信頼に応えるだけの意志を持っていない、片手落ちの個人事業主でした。

しかしそんな未熟者だった僕でも、1つだけ言えることがあります。それは、「もし自分が開業届を出していないことや白色申告であることや税の知識が不十分であることが原因で何らかの不利益を被ったとしても、それは自分のせいである」という気持ちで居た、ということです。

自分の無知のせいで払うべき税金が多くなってしまったり、もらえる金がもらえなかったりしても、決して文句は言わない。

…いや、どうだろう…。今ならそう言えるけど、5年前の自分でもそう言えただろうか? 目の前に金という餌が吊るされても、自分が無知なのを棚に上げてあさましく金を要求するようなことはしなかったと、果たして言えるだろうか? 何とも言えません。

雑所得フリーランス問題

今現在(※執筆当時:2020年5月13日)、持続化給付金をめぐって、雑所得フリーランスという問題が浮上しています。詳しくはこちらの記事で。

継続した事業であり、主たる収入と言える仕事であるにも関わらず、事業所得ではなく雑所得で確定申告をしていたフリーランスがたくさん居るという問題です。雑所得での申告では、持続化給付金100万円の要件を満たしていません。

多くの人がこの問題に声をあげているのですが、そこに少し違和感を感じているのも事実です。事業所得と雑所得というのは税額こそあまり変わりはありませんが、「事業者たる意志」という点では大きく異なります。

事業者たる意志とはつまり、この記事で僕が書き綴ってきた「納税の義務」に他なりません。「事業所得」という単なる所得区分にそれほど重い解釈を付けるのはどうかという意見もあるかもしれませんが、僕が無開業届状態の白色申告から青色申告へ、消費税免税事業者から課税事業者へ、個人事業税控除額以下から課税対象者へと8年をかけて少しずつ成長してきた経験の中で、「それが事業所得。それが納税の義務。それこそが国と国民との信頼の証であり、誓い」であるとハッキリ感じています。

コロナウィルスという前例の無い非常事態下にある現在、間違って雑所得で確定申告をしてしまったフリーランスにも支援がなされるべき、という点に関しては異論はありません。

しかし、そのようなフリーランスの方には、100万円もらえるかもらえないかという話で終わるのではなく、このことを機に、国民の3大義務の1つである納税の義務を主体的に果たす責任のある個人事業主として、気持ちを新たに入れ替えて欲しいと思っています。

スポンサーリンク