2020年基礎控除引き上げ
2020年から基礎控除が従来の38万円から48万円に引き上げられます。「控除」とは何だったか、おさらいしてみましょう。
控除が増えると課税対象所得が少なくなり、結果として税金が減ることになります。やったね。
ところがどっこい
ところがどっこい。基礎控除は10万円増えるのですが、その代わりに青色申告控除や給与所得控除は逆に10万円減ります。なんやそれ、プラマイゼロやんけー。
プラマイゼロで何の意味があるの? と思われるかもしれません。でもこれ、いろいろと税額を微調整するための施策なんです。特にフリーランスにとっては、条件を満たせばおいしい話になっているので、しばしお付き合いを。
青色申告控除はe-Taxで据え置き
フリーランスは事業所得があるので、青色申告控除を受けることができます。もちろん、ちゃんと青色申告をしていないとダメなので、まだ青色申告をしてない人は「青色申告をしよう」を読んで、青色申告承認申請書を出して、今すぐ青色申告に切り替えるんだッ! 青色申告をしたい年の3月16日までに税務署に提出すれば間に合うよ!
その青色申告控除ですが、2019年までは65万円でした。でも、2020年からは55万円に引き下げられます。基礎控除のプラス10万円と相殺されて、結局プラマイゼロになってしまいます。
ところが! ある条件を満たすと、2020年以降も65万円の青色申告控除を受けることができます。その条件とは、
- 仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿保存している
- 確定申告を電子申告(e-Tax)で行う
のうち、いずれかを満たすことです。両方満たす必要はありません。いずれか一方でOKです。
フリーランスにとっては、e-Taxがおすすめです。
e-Taxをすれば基礎控除はプラス10万円で、青色申告控除は据え置き。結果として、2020年以降は控除が10万円増えることになります。ありがたやありがたや。
ただし、一つだけ注意点があります。2020年以降は、所得が2400万円を超えた場合、基礎控除が減ってしまいます。2019年までは基礎控除は一律38万円でした。
合計所得金額 | 基礎控除(2019年以前) | 基礎控除(2020年以降) |
2400万円以下 | 38万円 | 48万円 |
2400万円超~2450万円以下 | 38万円 | 32万円 |
2450万円超~2500万円以下 | 38万円 | 16万円 |
2500万円超 | 38万円 | 0円 |
このように、合計所得が2400万円を超えると、基礎控除の額が2019年以前の38万円よりさらに減ってしまいます。でもまぁアレですよね、2400万円だなんて、うらやましいなぁ。
青色申告控除と基礎控除の合計額を見てみましょう。
合計所得金額 | 控除合計(2019年以前) | 控除合計(2020年以降) | 控除合計(2020年以降e-Tax) |
2400万円以下 | 103万円 | 103万円 | 113万円 |
2400万円超~2450万円以下 | 103万円 | 86万円 | 96万円 |
2450万円超~2500万円以下 | 103万円 | 71万円 | 81万円 |
2500万円超 | 103万円 | 55万円 | 65万円 |
とりあえず合計所得が2400万円以下の大多数のフリーランスは、2020年以降はe-Taxをしましょうってことですな。
給与所得が850万円以上の場合は増税
給与所得者の場合、2020年以降は給与所得控除が10万円減ってしまうので、基礎控除のプラス10万円と相殺されてプラマイゼロになります。ところが、給与所得が850万円を超える場合、増税となってしまいます。
給与所得控除の額は以下の通りです。
給与所得金額 | 給与所得控除(2019年以前) | 給与所得控除(2020年以降) |
162.5万円以下 | 65万円 | 55万円 |
162.5万円超~180万円以下 | 給与所得×40% | 給与所得×40%-10万円 |
180万円超~360万円以下 | 給与所得×30%+18万円 | 給与所得×30%+8万円 |
360万円超~660万円以下 | 給与所得×20%+54万円 | 給与所得×20%+44万円 |
660万円超~850万円以下 | 給与所得×10%+120万円 | 給与所得×10%+110万円 |
850万円超~1000万円以下 | 給与所得×10%+120万円 | 195万円(上限) |
1000万円超 | 220万円(上限) | 195万円(上限) |
むむっ、表だとよくわからないので、グラフにしてみましょう。
給与所得が850万円以下の場合は、2020年以降の給与所得控除額は2019年に比べてマイナス10万円で一律です。基礎控除がプラス10万円なので、相殺してプラマイゼロになります。
給与所得が850万円を超えると、給与所得控除の2019年との差は最大マイナス25万円までじわじわ増えていきます。給与所得が1000万円を超えると、控除の差はマイナス25万円で一律です。つまり850万円以上の場合は、基礎控除のプラス10万円引き上げだけでは相殺しきれず、結果的に増税となってしまうわけです。
さらに、給与所得が2595万円以上の場合、給与所得控除を差し引いた所得金額が2400万円以上となり、基礎控除の引き下げの影響も受けます。ダブル増税です、こんちくしょう。
総括
2020年以降は2019年以前に比べて、
- フリーランスはe-Taxで青色申告をすると税金減
- 2400万円以上のフリーランスは税金増
- 850万円以上のサラリーマンは税金増
となっています。フリーランスは大体優遇されます。一方、850万以上の高給サラリーマンは税金が増えてしまいます。みんな会社を辞めてフリーランスになれってことなんですかね?
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません