仕事の値段
自分の仕事の値段って一体どれくらいなんでしょう? 給料のことではありません。自分のしている仕事を例えば青空市場で売るとして、それを何円にすれば人は買ってくれるのでしょうか。
プログラマーの値段
プログラマーの仕事をしているといろいろな相談を受けます。
- このExcelシートのデータを項目別に合計してほしいんだけど、できる?
- 特定のWebページを定期巡回して、更新があれば通知が来るシステムを作ってください
- データベースとかよくわからないのでインストールしてください
どれもこれも時給換算すれば、昼飯の牛丼1杯くらいおごってくれたら十分というような内容ばかりです。でも実際のBtoBでは、こういう仕事を5万円とか20万円とか50万円とかで請けます。
これがBtoCならそうはいきません。牛丼どころか、100円でも売れないくらいのフリーウェアのレベルです。
責任にこそ価値がある
BtoBでの仕事というのは、その内容に価値があるのはもちろんですが、「仕事を確実にやり切る」という責任にこそ価値があります。
納期通りに納品されること。責任者にいつでも連絡が取れること。誰がその仕事をしたかという責任の所在が明確なこと。責任者が退職しても別の責任者が必ず付くという保証。場合によっては損害賠償を請求できるというリスクを考慮した契約。
このように仕事に対する「責任」というものが含まれているので、BtoBの価格は高いんです。
これが、路地裏でパック詰めされた牛丼弁当を売ってる弁当屋だとそうはいきません。どこ産の牛肉を使ってるのかを聞いても教えてもらえないし、いつその弁当屋が居なくなるかもわかりません。マズくても味の改変を要求することもできません。
※もちろん牛丼弁当屋さんも誠心誠意仕事をなさっています。そこに変わりはありません。
相場に慣れる
僕も最初は、プログラマーとしての値段が高すぎることにびっくりしました。
この世の中、いろいろなソフトウェアがあります。Windowsそのものもそうだし、ChromeとかExcelとか普段使うソフトウェアや、僕がいつもお世話になってる弥生の青色申告もそうです。これらは大体、8,000円~15,000円くらいで店頭に並んでいます。Chromeなんかは無料ですね。
そんな高機能なソフトウェアの何百分の1の内容しかないものを初めて仕事で作ったとき、ウチの上司は確か30万円くらいの価格を付けていたと記憶しています。
30万円!? うそやろ、ぼくそんな高価な仕事してないよ…。
まぁ、ユーザーが何千万人と居る一般ユーザー向けソフトウェアと、僕が作った受託開発の(つまり、ユーザーが1人の)ソフトウェアでは単価が違うのは当たり前だけど、それにしても30万円は高すぎる…。んまい棒が3万本だぜ?
「価格って大体こんなもんだよ」
って上司に教えられて、はぁ、そんなもんなんスか、ってとりあえずはわかったフリをしたんですが、はぁ、そんなもんなんスか…。というわけで少しずつそういう相場に慣れていきました。
自分で価格付けをするようになって
プログラマーの仕事を始めて6年くらい経ってからでしょうか、僕も自分で見積書を作る(要するに価格を決定する)立場になりました。
これは会社によりけりです。入社1年目から見積を作る責任を与えられる会社もあります。ウチの場合はプログラマーという実働部隊が少なかったので、プログラマーは専門性の高いプログラミングという業務に専念すべきという理念があったのだと思います。
とにかく自分で見積書を作るようになったとき、いつの間にか理解していました。ああ、この価格には「仕事を全うする」という責任に対する対価が含まれているんだな、と。
そして、その責任というのは自分一人で負うものではなく、会社という看板が大部分を負ってくれていることも理解しました。自分一人なら最悪責任を放棄して「辞めますわ!」ってこともできるけど、会社というのは客先からの裁判や損害賠償に逃げずに応じる責任をも背負っている。
その重みが、1つの超小規模なソフトウェアにでも30万という価格が付けられる理由なんだな、と。
イラストレーターとか
僕は仕事柄、デザイン性の高いソフトウェアを作ることはほとんど無いので、今のところイラストや音楽や動画などの自分では絶対に作れないものを人に依頼する機会はありません。参考までに僕の画力がどれくらいかと言うと、
こんな感じです。画伯です。
でも、この先いつ綺麗なイラストが仕事で必要になるかわかりません。そんなときはイラストレーターの方にイラストを依頼することになると思いますが、ちゃんとBtoB価格で依頼するのでご安心を。もちろん消費税も請求してください。「食べ過ぎておなかいっぱいの人の図」を依頼するとしたら、1枚15,000円くらいですかね。
仕事の値段は思ったより高い
要するに、仕事の値段っていうのは自分が思うよりだいぶ高いんです。「そんなにもらっていいの?」って値段で依頼が来ても、ビビらずに請けましょう。それはあなたの技術力を見て、客が妥当だと思って決めた値段。責任さえ果たせば、それは正当なあなたの仕事の値段です。
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