会社を辞める2年前の心境

この話は、プログラミングを全くしたことが無い人から見たプログラムの世界の続きです。話としては続きなんですが、W君の件をきっかけに起こったこと、そして多分僕がこの頃から会社を辞めようと思っていたことを表わす当時の日記です。

日記のソースは2009年末。会社を辞める2年前の心境はこんな感じでした。

※以下、当時の日記をコピペ

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いろいろな視点

あらすじ

超新人のW君に1ヶ月の期間を与えて課題に取り組ませた。しかし結果は惨憺たるもの。完全に怠けていたと思われる。これでは採用するかどうかの判断以前の問題だ。もう1ヶ月のラストチャンスを与えて、W君は帰っていった。

さて、面談が終わったので、この評価結果をウチの意思決定機関に報告せねばならぬ。ウチの社長は同席してたので、軽く意見を交わしあった。思うところは、ほぼ同じだろう。

社長

うーん、ちょっと期待はずれだったね。

ぼく

そうですね。ほとんど何もやってなかったんでしょう。拙いなりに何かをやっていたら、その跡は見えるし、もしかしたらプログラミング以外の何かが得意かもしれないということがわかったかもしれないんですけどね。

社長

講習会を受けさせようと思ってたんだけど、どう?

ぼく

はっきり言って、たとえ10万円程度でも、ウチの経費で講習代を払って次のステップに進めるのは、僕は反対です。

社長

そうだよね。よし、そういうことにしよう。このことはCEOに言っておくよ。

ぼく

わかりました。でもこれ、100%彼が悪いとは言い切れないと思うんですよ。ウチは勉強の仕方とかそういうことを何も教えていなかったし、しっかりした教育体制を整えていたわけでもない。彼のような境遇なら、こういう結果になるかもしれないことは十分わかっていたはずだし、忙しいことを理由に彼にかまってあげられなかったわけですから。

社長

そうだね。我々も、教育ということに関して、いろいろと考えないといけないね。

という感じ。社長はCEOに報告を上げておくと言われたんですが、一応僕のほうからもあとでCEOに報告。

※編集注:社長は技術のトップで、CEOは営業のトップの別人。役職上の立場としては社長のほうが上なんだけど、実態は共同代表みたいなものなので、技術職で忙しい社長よりもCEOのほうが実質的に経営判断の多くに携わっていた。

ぼく

W君の件ですが、大体社長から聞いていると思います。

CEO

それは聞いた。で、キミはどう思うの?

ぼく

意見は同じです。W君はあまりにも怠けすぎていたと思います。これで採用に踏み切るのは無理だし、今のところウチが一文たりとも教育にお金を出すのは得策ではないと思います。

CEO

W君は何もやってないよ。アレじゃぁイカン。

ぼく

まあ、ズブの素人に1ヶ月でこの量の勉強は難しかったと思います。ですが、『彼自身の問題として』、これはちゃんとこなさないといけないですね。一方、『我々の問題として』、何も教育しなかったのも事実です。今後、もう少し考える必要はあると思います。

CEO

……。この業界でやっていこうと思うなら、あれくらいできないとダメだ。

ぼく

ああ、ああ、そうです。それは『彼の問題として』ですね。

CEO

じゃけぇ、全然やる気が無かったんだ。それはイカン。

おわかりいただけるだろうか。

人材が欲しい我々としては、人を育てるためにいろいろな方法を模索しないといけないと思います。その視点での意見であることを強調するためにあえてゆっくりと『我々の問題として』と前置きしたのですが、何だろう、このCEOの受け答えは。

W君が怠けていたことは百も承知だ。この作業量をこなさなければこの先やっていけないことも、一点の疑う余地も無く正論だ。そんなことはわかってる。それを踏まえた上で、こうやって視点を変えて意見を出しているというのに。

仮に、ウチに落ち度が全く無いという考え方だとしたら、受け答えはこうなるはずだ。
僕「(略)今後、もう少し考える必要はあると思います。」
CEO「その必要は無い。我々の援助無く課題をやりきる力を持った人材が欲しいのだから。」

しかし、そういう返答も無かった。あったのは、ただ無言の「……」だけ。そして、正論をただ繰り返すだけ。

 

ここで何故僕がこのことを問題にしているかというと、CEOのこの振る舞いは今にはじまったことではなく、いつもこのパターンだからなんですよ。昔は、その正論を「確かにその通りだ」と聞いて、なんか多少論点がずれてきてるな、という感覚くらいで、何度も繰り返される正論を「ふむふむ」と聞いていたんですが、最近その違和感を深く分析して、CEOの思考のロジックがわかってきた感じがするんです。

要するにCEOは、物事をいろんな視点から見ることができない。別の視点からの意見に対して、いつも無言になる。いや、正確に言うと、視点が決して狭いわけではないんだけど、「正論」がそこにある以上、別の角度から見た意見は全て「間違い」であると決め付けるっていう感じかな。

180度違う意見は「間違い」だけど、斜め上45度の意見とかそういうのも、CEOの頭の中では全て「間違い」。だから、僕が別の視点で意見を言っても、「あ、また間違ったことを言っている。では繰り返さなければ」という感じで同じことをくどくどと言うわけですね。

つい最近も何度かそういうパターンがあったので、今回の件でどうなるか注意してたら、やっぱり同じパターンでした。というより、昔からそうだったんだろう。僕が気付かなかっただけで。

 

ついでに言うと、仮に「我々の援助無く課題をやりきる力を持った人材が欲しいのだから。」というのがCEOの考え方なのだとしたら、それはそれで問題だ。なぜなら、ウチはそれだけ「できる」人材が居たとしても、それに見合う報酬を出せるほど資金が潤沢ではないから。

良い人材は、別の大きな企業へ就職するだろう。企業体力の弱い我々は、どうしても今回のような「取引先のW様のご子息」のような裏ルートでの人材発掘に頼らざるをえない。そこをカバーするのが、「たとえ他の企業が見放した人材でも、それを発掘し、長所を引き出し、力が最大限に発揮できるよう考える」という我々の努力ではないか。

それを無視して、ただダイヤの原石、いやダイヤそのものが誰の手につかまることなく運良く自分の足元に転がってくることを待っているだけだという姿勢なのなら、僕は納得できないですね。

この新人や我々現場の技術チームにそれだけの作業量や技術量を要求して、ウチはそれに見合う報酬を出せるのか? 出せんだろう。それでも我々技術チームがウチに留まっている理由が何であるか、本当にわかっているのか? その理由が全て無くなったとき、アナタのまわりからは誰も居なくなるんですよ?

今、その重要な「理由」の一つが(惜しまれながらも)無くなったことは周知の通りだと思う(※編集注:みんなに慕われてた最年長社員が退職した)。事実僕は最近、徒党を組んで離脱する計画を持ち始めているんですよ? もっとヒドくなると、マジで計画を考えますよ?

※コピペおしまい

いろいろな視点

物事をイエスかノーか、そして「俺が正しいかお前が正しいか」なんていう狭い視点でしか考えられないと、こんな感じになるという例です。

いろいろな視点で物事を考えてこそ、思考は豊かになるんじゃあるまいか?

給料の少ない会社に居る理由

実際のところ、残業代も満足に出せず、社員への給料もぎりぎりまで絞らないと利益が出ない中小企業は多いと思います。それを全部「ブラック企業だ」と言い切るべきかは、なかなか難しい問題だと思います。

労働基準法的にはブラックでも、社員がちゃんと付いてきてくるようにするのもまた、経営者の知恵だろう。僕の場合、魅力のある最年長社員(この記事を書く少し前に退職)と、魅力のある社長が居たから、何も不満は無かった。人の魅力って、大事なんすよ。

しかしアレですね、他の社員までけしかけて大量退職することを計画してたなんて、当時の僕も相当病んでますねw 辞める2年前でこの心境なんだから、これ以降、ますます病んでいくのだろう。その話はまた、いずれ。

※この後、僕が計画するまでもなく、全員別々の時期に辞めました。

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